APDの診察をずっと続けてきました。合計で600人ぐらいは診たかもしれません。数だけで言えば、全国l一かもしれません。
しかし、今はその診療をやめています。
やめた理由はいろいろあるのですが、検査を求める人が多いというのもあります。当院ではAPDの検査をしていません。しない理由はいくつかありますが、一番は時間がかかることです。検査を入れて診断しようとすると、とにかく診察できる人数に限りがでてしまう。問診だけでほとんど診断できるのに、検査をしなければならない理由がよくわからないのです。検査をすればほぼ診断がつくというのであればいいのですが、時間をかけても、検査で陽性になる確率(検査の結果でAPDと診断できる)が半分ぐらいです。つまり、検査で、APDではないという結果がでても、APDだと診断するのです。それは検査の結果をもとに判断しているのではなく、問診などから判断しているのです。
検査の結果が8~9割ぐらいの精度だというのであればいいのですが、現状では5割ぐらいです。半分しか診断できないというわけです。この精度では検査をする意味があるのかと疑問に思います。
APDの診断できるところは少ないのです。しかし、APDかもしれないと悩んでいる人はたくさんいます。そんなこともあり、当院では診察して診断を続けてきましたが、「検査を受けないと納得できない」という人が増えたため、面倒なので診察そのものをやめてしまいました。「どうぞ検査をやっているところをご受診ください。」ということです。診断しただけで喜んでくれる人もいますが、誰がそういう人で、誰か検査をしないとだめな人かわからないのです。ですから、すべての診察をやめました。
APDで検査を求める。
そのことが、APDの人たちを余計に追い込みます。普通のクリニックでは診察できないからです。検査をやっている数少ない病院を求めて、その順番をじっと待つしかないのです。