APD(聴覚情報処理障害)かどうか検査をしろ | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

APDの診察をずっと続けてきました。合計で600人ぐらいは診たかもしれません。数だけで言えば、全国l一かもしれません。

 

しかし、今はその診療をやめています。

やめた理由はいろいろあるのですが、検査を求める人が多いというのもあります。当院ではAPDの検査をしていません。しない理由はいくつかありますが、一番は時間がかかることです。検査を入れて診断しようとすると、とにかく診察できる人数に限りがでてしまう。問診だけでほとんど診断できるのに、検査をしなければならない理由がよくわからないのです。検査をすればほぼ診断がつくというのであればいいのですが、時間をかけても、検査で陽性になる確率(検査の結果でAPDと診断できる)が半分ぐらいです。つまり、検査で、APDではないという結果がでても、APDだと診断するのです。それは検査の結果をもとに判断しているのではなく、問診などから判断しているのです。

 

検査の結果が8~9割ぐらいの精度だというのであればいいのですが、現状では5割ぐらいです。半分しか診断できないというわけです。この精度では検査をする意味があるのかと疑問に思います。

 

APDの診断できるところは少ないのです。しかし、APDかもしれないと悩んでいる人はたくさんいます。そんなこともあり、当院では診察して診断を続けてきましたが、「検査を受けないと納得できない」という人が増えたため、面倒なので診察そのものをやめてしまいました。「どうぞ検査をやっているところをご受診ください。」ということです。診断しただけで喜んでくれる人もいますが、誰がそういう人で、誰か検査をしないとだめな人かわからないのです。ですから、すべての診察をやめました。

 

APDで検査を求める。

そのことが、APDの人たちを余計に追い込みます。普通のクリニックでは診察できないからです。検査をやっている数少ない病院を求めて、その順番をじっと待つしかないのです。