摂食障害は増えるだろうなあ | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

若者がSNSに必死になり、痩せていることが何よりも優先するようになる。こんな世の中になれば、摂食障害は増えるだろうと思う。

 

拒食症、過食症という言い方もあるが、一方だけではなく、交互に繰り返すことも多いので、今では摂食障害という言葉が一般的であろう。

 

命を落とすのは、拒食症のほうである。極端に食事をとらなくなり、栄養失調状態になる。こうなると入院治療が必要になる。ちなみに自分が学生の頃は、「神経性食思不振症」という病名が普通だった。低栄養状態から亡くなってしまうのだ。どんなにやせても、やせても、もっとやせたいと思う。それがこの病気。

 

モデルさんに多いが、まったく太っているように見えないにもかかわらず、「太りすぎたからやせないとまずい」というような発信をする。標準体形であっても、「もっとやせろ」とSNSで炎上する。正常の体系が、太りすぎだと思い込んでしまう。ほとんど精神的な問題。これが摂食障害の本質。

 

食べては吐くを繰り返すために、虫歯になったり、耳下腺の炎症をくりかえしやすい。そんな理由でときおり、当院にもやってくる。根本の治療は、かかりつけ担当医がすでに行っていることが多い。その治療に期待するしかないが、難治性で、反復しやすい。

 

リアルな社会に生きていれば、少しぐらい太っていても何も問題がないことに気づくと思う。SNSの世界は、偏った社会であり、太っていなくても太っていると一方的に攻撃される。孤立した人間関係が、それをさらに悪化させる。

 

すでに摂食障害の若者がすごく増えていて、それを診ている医師たちはかなりの危機感をもっているはずである。普通の子供がちょっとしたことで摂食障害になり、そこからの脱却はかなり難しい。

 

このブログでは、いろいろな病気のことを書いている。

ブログで書いているのだから、診察できるだろうと受診してくる人が多い。「当院では診ていない」と言うと、すごいクレームがくる。以前に何度か起立性調節障害のことを書いたら、ブログに書いているのに診ないのはおかしいというクレームがきた。これ自身は、医者個人のブログであり、クリニックのホームページではない。「摂食障害」のことを書いたからと言って、自分が治療しているわけではない。自分が治療できるのであれば、「当院で治療しています」とはっきり書く。

 

松本人志さんが、テレビの番組で「切り抜き記事禁止」とかかげて、テレビにでていた。そこだけ切り抜かれて記事にされると誤解されるのだ。そのことに怒っている。自分のブログも、一つの記事だけ読んで誤解する人が多い。ここ1か月ぐらいの記事すべてに目をとおせば、そんな誤解は起こらないと思うのだが。

 

このブログで書いたからと言って、当院で治療できるというわけでもない。喉頭がんのことを書いても、喉頭がんを治療しているわけではない。起立性調節障害のことを書いても、その治療をしているわけではない。診ないわけでもないが、そう思ったら専門医療機関に紹介するだけである。摂食障害の治療もしていません。こんなことを毎回書かないと誤解する人が多くて、面倒だ。

 

ネットの病気記事なんて、書いた人が医者でもないのに、病気の解説をさんざん書いているでしょう。