「赤ちゃんをわが子として育てる方を求む」 | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

「赤ちゃんをわが子として育てる方を求む」

石井光太著 小学館文庫、2020年

 

宮城県石巻の産婦人科開業医、菊田昇医師の事件を書いたフィクション小説である。

 

簡単にまとめると、8ヶ月を過ぎ堕胎ができない状況で生まれた赤ちゃんを、子供がほしい人に養子にだし、実子として出産届をだしていた事件である。望まれない子供は、生まれてすぐに産婦人科でひっそりと殺されていた。その子どもたちを救いたいと、出産を承諾し、子供をほしがる人に養子にだしたのだ。子供の命を救うために、法律を犯した。

 

自分がもっとも尊敬する医師であり、菊田昇医師のように自分の信念を貫きたいと思っている。医師としてもっともすばらしいことをして、日本中の産婦人科医から総スカンをくった。

 

書いたのが、石井光太氏。僕がもっとも推しているノンフィクションライターである。「遺体」という東北大震災の津波被害者の本を書いており、石巻での取材の過程で、菊田医師のことを知ったようだ。

 

1週間以上前から読み続けてきたのだが、本日完読した。