急性喉頭蓋炎はレッドサイン | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

「急性喉頭蓋炎」

耳鼻科の病気の中で、本当に見逃したら怖いと言われている病気である。耳鼻科医であれば、そんなに珍しいものではないことを知っているに違いない。ところが、内科の医者となると、「診たことがない」という人のほうが多いことだろう。診たことがないのではなく、気づいたことがないのだと思う。

 

急性喉頭蓋炎は、息が苦しくなる病気だと思われている。このため、「息は苦しくないですか?」と聞きまくっている内科医も多いのではないだろうか。このような確認のしかたでは見落とすだろうなと思う。もっと的確な確認方法は、のどの痛みである。「唾がのめないほどのどが痛い」このような表現をする場合に、急性喉頭蓋炎かあるいは扁桃周囲膿瘍が多い。いずれにせよ、すぐに耳鼻科医にみてもらったほうがいい。耳鼻科に紹介すべきケースであり、そのまま自宅に帰さないでほしい。逆に痛みさえひどくなければほとんど心配ないと思っている。

 

急性喉頭蓋炎は、大人よりも子供に多い。

 

このような衝撃的な話を聞いたことがある。恥ずかしながら、子供の急性喉頭蓋炎を一度も診たことがないのである。こどもにも多いのかもしれないが、その場合には小児科医が対応してしまい、耳鼻科にまわされてこないのではないだろうか。

 

大人と子供の急性喉頭蓋炎の違い

 

大人は上に解説したように、強い咽頭痛でやってくる。ところが、子供の場合には、呼吸苦でくる場合が多いのだそうだ。気道が狭いという理由で、呼吸苦がはやくでやすいのだろう。

 

先日、講演を聞いていたら、「疑ったら耳鼻科に紹介し、ファイバーで確認してもらえ」と言っている医師がいました。小さな子供で、急性喉頭蓋炎で窒息しかかっている場合、ファイバーしたらギャン泣きして、その場で窒息しますよ。ファイバーするのなら、緊急気管切開の準備をしてからやりましょう。度胸がないとできないですよ。あっ、無知でもできます。窒息したら、それはファイバーをやった耳鼻科医の責任になりますからね。紹介した医者は責任取らないだろうし。

 

耳鼻科医であれば、日々急性喉頭蓋炎の可能性はどうだろうか。頭の中で考えながら診察していると思います。見逃したら患者が死ぬかもしれないからですね。30分遅れたら手遅れになる非常に危険な病気です。