感染力が強いのは最初だけ | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

コロナの隔離期間10日間になっている。10日間は、感染力が強いと思っている人がいるが、これは間違いである。ここで添付したグラフをみてほしい。

 

 

10日目ぐらいまではウイルスがいるのかもしれないが、ウイルス量は日をおって、どんどん少なくなる。発症後数日ぐらいは感染力があると思ってもらいたいが、10日目などはウイルス少ないので、ほとんど感染力はない。このグラフで注意してもらいたいのは、発症前から感染力がすごく強いのだ。ただ、発症しないことには患者の同定は難しい。

 

大切なのは、発症後にすぐに仕事を休ませることである。一番感染力の強い時期だからだ。そのとき仕事にいっておいて、みんなにうつしてしまってから、のちに検査に来る人が多い。あとで陽性とわかっても、すでにウイルス量は減ってきており、感染力は弱くなってしまっている。周囲にうつすのは発症間もないころであり、そのころに仕事をやすませなければならない。最初仕事に行って、みんなにうつし終わったあとに、その後何日休んでもあまり意味がない。会社にコロナを広めたくないのであれば、「風邪症状がでたら、最初から休んで会社に来るな」が正しい対応なのだ。最初に会社に来させて、仕事が終わってから、コロナかどうかを調べてもらえというような対応していては、コロナはおさえられない。

 

さらに言えば、今のオミクロンに関しては、10日を厳密に守る必然性はない。国のルールがそうだからそうなっている。10日たって、すぐに仕事にもどっても、周囲にはうつさない。ウイルス量がほとんどでないからである。それでも感染させる可能性があるじゃないかと言う人はいるとは思う。しかし、コロナ感染隔離からすぐに復帰した人に、誰が近づくだろうか。近づかなければウイルス少量でているぐらいでは感染しない。