帰省前の忠告 | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

出張があるからとPCR検査をやるように言われた人がいる。

陰性だった。

しかし、検査をやるのが早すぎたのだ。

出張の1週間以上前にやってしまったために、再度検査をやるように言われた。

まじめに再検査を受けた。

今度は陽性だった。

コロナに感染してしまったのだ。

 

再検査がなければそのまま出張していたことだろう。

 

帰省前にPCR検査を受けたいという人はいっぱいいることだろう。いい、心がけである。しかし、検査を受けたあとに感染する可能性は十分にある。検査後は帰省日まで自宅にこもっている必要がある。どこで感染するかわからないのだから。

 

熱などの症状がでたから他院でPCR検査を受けた。

陰性だった。

症状がよくならないので、当院受診し、再検査を行った。

陽性になった。

最初からコロナに感染していたのであろう。

 

PCR検査の陽性率は7割ぐらいと言われている。つまり、コロナで感染していても、一度の検査では3割が陰性になる。

 

二度検査を行ったら、二回目に陽性になるケースはそんなにめずらしくはない。特に、症状がないときに検査をすると、ウイルスが十分に増えていないので、陰性になってしまう可能性が高い。症状がでるとは、ウイルスが増えてきた証拠なので、それから検査をすると陽性になりやすい。検査をするタイミングも重要である。

 

つまり、帰省前に検査をして陰性であっても、ウイルスが十分量増えていないかもしれない。このような時期を潜伏期といい、検査事態が無効なことも多い。潜伏期の最大期間は2週間と言われる。だから、どこでも2週間隔離なのである。2週間発症しなければ、ウイルス感染はないだろうと考えるのだ。

 

帰省前に検査をした。しかし、潜伏期間でウイルスがほとんど増えていない。検査では陰性。数日後実家に帰省する。そこでウイルスが増え、症状がではじめる。検査で陰性だったということが、感染していないことの証明にはならない。こうして帰省時にウイルス感染が広がっていく。

 

帰省先での感染を広げないためにはどうしたらいいのか。意外と方法は簡単である。帰省したら、実家に閉じこもり2週間誰とも合わなければいいのだ、そうすれば周囲にウイルスをうつすことはない。せっかく帰ったのだから、実家の家族と話をしたいだって?すればいい、スマホを使って。近づかなければ感染しないのだから。