以前に、大学病院で外来をしていたとき(10年ぐらい前)、びっくりしたことがあります。外国人がすごく多いのです。受診する患者さんの二人に一人は外国人。外国人と言っても、日本に居住している東南アジアの人が多いのです。中国、韓国、タイ、フィリピン、ベトナム、インドなど。
多くの人が紹介状を持参しないで受診します。紹介状がない場合には、選定療養費がかかります。だいたい5000円ぐらいです。それでもいいですかと総合受付で言われますが、ほとんどの外国人の方はそれでも受診を希望するようです。
日本人の場合には、近場の開業で診察を受け、よくならない場合には大病院に紹介され受診という流れが普通なのですが、外国人の場合には、いきなり大病院を受診してくるのです。
その背景には、大病院の医者しか信じられないという医者不信があるのだと思います。それぞれの母国では、まともな医者は大病院にしかいないからなのかもしれません。僕自身、それぞれの国の事情はよくしらないので、これは推測です。
日本の場合、ベテラン医師が開業医になるので、若手中心の大病院にいきなり受診するのではなく、まずは開業医でみてもららって、ダメならば大病院という連携が普通です。日本人の多くはそのことをよく理解しています。
育った国により医療体制も違ってきます。今まで自分が育ってきた医療体制をもとに判断・対応しようとします。
日本人もやっぱり同じでしょう。日本で育った人が米国にいけば、開業医や病院のハードルが高いことに驚くでしょう。そう簡単に見てはもらえないのです。もっと驚くのは料金の高さかもしれませんが。
フリーアクセス、保険があり安い診療費でみてもらえる、さらに開業医の診療レベルが高い。日本に来たての外国人にはそう簡単には理解されません。