共通テストでの鼻マスク問題 | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

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以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

マスクをしたときに、鼻の穴を出していた学生がいた。試験管のたびたびの注意にかかわらず、そのままの状態だったため、試験失格になった。このできごとが注目を浴びている。

 

鼻マスクが危険かどうかの問題よりも、試験管の言うことを聞かないのであれば、失格になっても当然であろうと思う。

 

受験と言うのは共通のルールのもとに、その良しあしを競う。マスクをしたら苦しくて集中しない人もいるだろう。しかし、ある学生はマスクをして、ある学生はマスクをしないというのであれば、不公平にもなりかねない。だからこそ、共通のマスク使用を義務付ける。

 

マスクは自分で持参したものである。普通のマスクをしての受験が苦しいのであれば、楽なマスクを自分で選んで持参すればいい。事前にどのマスクならばラクに使用できるかは、自分の事前準備である。用意周到に試験に臨むことが大切である。当日風邪をひかない、睡眠時間を十分にとるなどの事前行為も試験の成績に影響する。マスクも、自分が使うベストのものを選ぶべきであり、その時間はあったに違いない。

 

宮本武蔵は、巌流島の戦いで、「小次郎破れたり」と最初から無茶苦茶なことを言った。小次郎はかなり動揺してしまい、本当に敗れた。戦う前から、そのための準備はしているのだ。武蔵は用意周到な準備は本当に狡猾である。

 

試験の時の鉛筆は何本持ち込むか、消しゴムをどうするか、そしてマスクは何を使うか。すべての選択は自分ででき、不用意なものを使ってしまうのは、その段階で準備不足であろう。

 

今回の試験で一番気の毒なのは同室の受験生である。受験生が注意をされれば、シーンとした教室の中では周囲の受験生はかならず動揺する。問題を解くのにかなりの影響がでるはずだ。冷静さを失ってしまうからだ。もちろん、どんなことで注意をされているかわからないので、次は自分が注意されるのではないかという不安もでてくる。そのような受験生の隣にはいたくない。これは正直な話である。周りの受験生にとっては、とても迷惑な話だ。

 

鼻マスクの受験生。おとなしく注意にしたがっていればよかったことだろう。全部で6回注意されて、それでも聞かないので失格になったそうだ。6回も注意を聞かされた周囲の受験生は苛立ちばかりであろう。もっと早く失格にしてくれというのが本音だろう。自分の人生がかかっているのだから。