コロナ診療検査2.3万か所に | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

また国の大ボラ吹きがはじまった。検査ができる医療機関を増やしたから、もう安心だよと言っているようだ。

 

コロナ診療検査2.3万か所に

 

コロナの最初のころ、PCR検査は一日6000件できるような体制は整いましたから、大丈夫です。総理はそう記者会見でいいはなった。しかし、どこでも検査が受けられない難民が山のようにでてきた。実際に調べてみると、その数分の一しか検査は行われていなかった。検査のできる件数と、実際に検査をやるかどうかは別の話なのだ。そんなことはわかっているのだが、国民に理解をえたいがために、半分ホラのような言い方をする。

 

コロナの検査できるところを全国で2.3万か所にしましたというのも、それと同じ類である。2.3万か所で検査がどんどん行われるわけではない。

 

東京は5000か所検査ができる医療機関をもうけたそうである。

 

何が問題なのかと言えば、そのほとんどが公表されないのだ。つまり5000か所検査ができるのは本当かもしれないが、どこで検査をやっているかは非公表なのだ。

 

つまり、都内で5000か所あっても、どこで検査をやっているのか、患者はわからないのだ。

 

うちのクリニックは、コロナのPCR検査も、抗原検査もやれる。発熱外来を開き、検査ができることをホームページで公表している。ただ、うちのようなクリニックはほぼ例外であり、多くのクリニックは、一切公表をしない。やっていないようなふりをしているところがほとんどだ。だから、患者としては検査をやっているかどうか知る由もない。

 

なぜ公表しないのか。それは風評被害を受けるからだ。当院でもかなりの風評被害を受けている。発熱外来を開くようになってから、あそこにはコロナの患者が行くから近寄るなと、街中に言いふらされるのだ。そのような声は街中で実際に耳にしている。コロナの検査を受けたいという患者が来るからもうかるだろうと思うかもしれないが、それ以上に他に逃げていく患者のほうがはるかに多い。経営的なことを考えれば、そんなことを言わないのが正解なのだ。

 

では、なぜ当院では公表するのか。それは熱がでてあちこちの医療機関を受診するような患者が増えれば、それはコロナをばらまくことになってしまう。3月の頃には、熱があるというだけでどこの医療機関からも断られるかわいそうな患者を多数みてきたからだ。当時は、自院でもPCR検査はできない状態だったので、「自分はコロナ」と思って受診しても、当院では何もしようがなかった。今は検査ができる状況がそろったので、そのような人たちを一人でも救うために、検査をしたい。検査をする以上は、「うちで検査も、治療もどちらもできますから、安心して

受診してください。」とおおくの人に知ってもらいたい。そのような理由から、あえて公表する。

 

はっきり言って、コロナが怖いと言う患者よりも、「熱がでて自分はコロナかもしれない」と苦しんでいる患者を優先したい。

 

先日、スギ舌下免疫療法をやっている患者で、「当院はコロナの患者を診ているから安心して受診できない」と怒っている患者がいた。しかし、舌下免疫療法の患者をみるよりは、コロナで発熱している患者を見つけ、治療をするのが、医師としての使命だと思う。経営的にはマイナスなのだけど。医者の使命はもうけることではなく、患者を救うことだからね。

 

2.3万か所の医療機関はたしかにコロナの検査はできる。しかし、大病院などをのぞけば、コロナの検査ができると公表しているところは、そのうちの1%もないんじゃないかと思う。患者はどこに行けばコロナの検査ができるんだと、大騒ぎになるのは目に見えている。

 

一応言っておくけど、当院も検査数には限界がある。このため、本当にコロナ患者が増えてきたら、当院かかりつけの人以外はすべてお断りする。診察はしても、コロナ検査はしない。コロナの検査はすごく時間がかかるからである。数をどんどんこなせるものではない。まずは自分のかかりつけのクリニックで相談してほしい。今はまだ暇だから、かかりつけの患者以外でも、希望があれば検査をしているけどね。