介護現場でお年寄りがなくなれば、そのとき近くにいた職員が犯罪者にされる | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

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以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

介護現場でお年寄りがなくなれば、そのとき近くにいた職員が犯罪者にされる

 

このようなおかしなことがまかり通っている裁判が行われている。

あずみの里裁判、第二審の話である。

 

詳細は、江川紹子さんのブログを参考にしてください。

 

ドーナッツを食べているときに、特養入居のお年寄り(85歳)が亡くなった。ドーナッツをのどにつまらせたのが原因と、担当していた看護師が業務上過失致死罪に問われた。一審では有罪。原告無罪をうったえ、二審が開始された。

 

ご遺体は解剖されておらず、詳細な死因は不明である。このため、倒れたあとに病院で撮影されたCTをもとに死亡原因が判断されている。

 

第二審では、CTの専門医師を証言として認めてもらうように、弁護側は動いた。6人中5人の専門医師が、脳CTから判断するには、脳梗塞といいう意見をもっている。ところが、裁判での証言は、すべて裁判所に却下されてしまった。

 

裁判長などは医療の専門家ではない。だからこそ、専門の医師の意見が重要なのだが、状況証拠だけで死因を決められ、それが担当職員の責任になされてしまう。おまけに、それを否定する専門医の証拠はすべて却下されてもしまった。

 

この証言が処理されなければ、まず二審も有罪になる。さらに最高裁での争いになるだろうが、最高裁で審議になるかどうかも疑わしい。

 

病院でも、介護施設でも、お年寄りと言うのはなんらかの病気で死ぬ確率は高い。亡くなったら職員の責任なのだろうか。人が亡くなるということに、誰かを犯人につるし上げようとする。

 

医療の世界では、高齢者と言うのは治療がうまくいってもなくなる可能性は高い。それを医者らの責任にされては、安心した治療はできない。

 

介護界、そして医療界を巻き込む重要な裁判になっている。