鼻出血。
そういう連絡が来ると、救急病院ではまず断られる。耳鼻科ではないから対応できませんと断る医者がほとんどだ。入り口のあたりであれば、おさえるだけでもとまるものだが、その対応すらしない医者がほとんどであろう。最初からできないと断るので、ほとんど見た経験がない。経験がないから、再び断る。
先日、鼻出血できた患者がいた。うちに来る前に、夜間救急病院(大病院ではない)でみてもらったという。そこの病院でガーゼを入れてもらったようだ。患者をみて驚いた。
ガーゼが奥まできちっと詰まっている。
数十年の耳鼻科診察の経験でも、このようなことはほとんどなかった。「耳鼻科の医者ではなかったですか?」と何度も確認したが、耳鼻科医ではないらしい。耳鼻科医でもないのに、このようにガーゼによる処置ができる医者がいることに驚かされた。「ぜひ、その医者の名前を教えてほしい」と思ってしまった。おそらく、都会の病院に勤めている医者では無理であろう。おおよそ、予想はできる。
できる医者もいるんだなと、久しぶりにうれしくなった日であった。