医学部時代の教育はみんな同じです | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

医者がよくある質問に、「学生のころから耳鼻科を専攻していたのですか?」というものがあります。けっこう誤解されているんですよね。

 

どの医者も、医学部を卒業するまでは(医師国家試験を受けるまでは)まったく同じ教育をうけます。その勉強の多くは内科分野です。皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、泌尿器科、精神科などの分野はマイナーとよばれており、医学部の中でも勉強はしますが、その勉強時間は極端に短いのです。医師国家試験までは全医学生がすべての科目を勉強しますが、医師国家試験に多く出される内科の分野が圧倒的に多いのです。このため、内科の範囲の勉強ばかりをしています。

 

医師国家試験に合格し、各専門ごとにわかれた勉強にうつります。僕らの時代は、直接耳鼻科の大学医局に入り、耳鼻科一本で勉強しました(現在は研修制度がかわったので、事情が少し違いますが、その制度についてはここでは省きます)。つまり耳鼻科医は医者になってから、耳鼻科しか勉強しない人がほとんどなのです。とは言っても、学生時代に学んだ知識がありますから、しばらくは他の病気も対応できます。耳鼻科医としての年数を経れば減るほど、他の科の病気についての知識がどんどん失われて行きます。つまり、若い耳鼻科医のほうが、他の病気のことが詳しいのです。これは耳鼻科に限らず、他のマイナー系の医者はみんな共通です。

 

では、内科の医者はどうかというと、学生のころからマイナー系の勉強をしない人がほとんどなので、医者になる前も、医者になった後もマイナー系診療科目の知識がない人がほとんどです。