診察をしないで薬をだしてはいけない | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

保険には、いろいろなルールがある。もっとも基本的なのは、患者の診察をしないで、薬をだしてはいけないというものだ。

 

そんなことはしないだろうと思うが、このルールをはずれて処分されたケースがある。

 

子どもが発熱し、小児科のクリニックにつれてきた。検査によりインフルエンザであることがわかった。ここまでは問題ない。ところが、自宅のその兄を残してきている。兄も高熱がでて伏せっている。当然ながらインフルエンザであろう。その母親にこう頼まれたのだ、「兄の分もインフルエンザの薬をだしてもらえないか?」もちろん、保険証などは母親がもっている。この医者は安易に兄の分の薬もだしてしまったのだ。

 

上記ルールに反した行為をしたということで、この医師は「保険医取り消しにまで至ってしまった。当然、医者は善意の気持ちで、「お兄さんの分も薬をだしておくね」と処方したのだ。今の保険ルールにのっとれば、「ぐったりした兄をあらためてつれてきて、インフルと診断してから薬をだす。」という対応が、正しい対応なのだ。保険上は正しいルールであっても、患者にとっては酷な話だ。ただ、ルールを破っているのが見つかれば、厳しく処分されるのだから、何とも言えない。