「シャレで生きる」を体現していた立川談志さん | メンタル和尚の法話録

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 以前に「シャレで生きている人」について書きましたが、落語家の立川談志(故人)さんも、そのお一人と言っていいでしょう。

 NHKで放送された「立川談志71歳の反逆児」によると、談志師匠は、夫婦で住んでいるマンションのほかに、練馬にある古びた一軒家を、演芸に関する書籍やビデオ、音楽CDなど、膨大な資料を保管するために使っている。その家には、「泥棒さん江」という書き出しの手紙を文机に貼ってある。

 「泥棒さん江。ここは資料室といって、芸に関する資料ばかりで、金品はありません。疑うなら、探すのはいいですが、荒らさないでください。ささやかですが、ご苦労賃です」。

 手紙の横に「泥棒代30,000円」と書いた茶封筒が置いてあり、札が透けて見えている。

 さすが、シャレで生きている人は発想が違いますねぇ。
 「落語とは、人間の業(ごう)を肯定するもの。人間の弱さ、醜さ、愚かしさ、そういう業をすべて引き受けた上で語るもの」というのが、談志さんの落語哲学。それを、自身の生き方でも体現しているようです。