「ホテル暖香園」をチェックアウトし,自家用1号車で「ダンコーエンボウル」の地下駐車場を出発。
 多少土地勘のある路地を進んで,伊東駅の裏側に回り込み,廃業してしまった「伊東オークラボウル」……だった建物の前に出た。

 

 

 このセンターも,1966年11月の開業。
 筆者が生まれる前から営業していたセンターだ。


 そして,今日に至るまで,ウッドレーンのまま,営業を続けてきた。

 正確にはこのセンター,2017年1月に,一度閉店している。
 時期からすると,所謂「新型コロナウイルス感染症」は無関係である。
 しかし,翌2018年の11月になって,あちこちのプロショップを経営している「VEGA」が経営する形で「再開」を果たした。
 つまり,筆者が本格的にボウリングを始めた当時は,その「閉業中」だったことになる。

 レーン数が12レーンと少ないが,朝には割安な料金設定があったり,他ではあまり見ない「マイボウラー割引料金」(4ゲーム目以降が何と200円/ゲーム)の設定もあった。

 


 伊東駅からは,むしろ「ダンコーエンボウル」よりも近い(裏側とは言え,何しろ駅から見える)ので,電車で来ても2つのセンターが「はしご」できるな,と思ってはいたのだが,実際に「はしご」できたのは,一度きりで終わってしまった。

 一頻り「跡地」(とは言っても,外見上は営業時と何ら変わらない感じ)の観察をして,9時前には伊東を後にする。

 自宅までなるべく早く帰ろう,とは思うのだが,わざわざ伊東に一泊しているので,単純に直帰するのは流石に勿体ない。
 前日「ダンコーエンボウル」で投げ終えたのは18時前なので,そこから帰宅すれば,その日のうちに帰着している筈である。
 とは言え,そんなに遅くなる訳にもいかないので,どこか1箇所だけにしよう,ということになった。

 そう考えると「平塚神奈中ボウル」こそ駅近だが,「X-BOWL小田原」や「湯河原パッキーボウル」だと,電車ではバスに乗り継ぐなどの難点もある。
 一人ならともかく,長男ととなると車で向かうのが現実的なので,小田原くらいまでなら「何かのついで」もあるだろうが,湯河原はちょっと遠い。
 何よりも,湯河原温泉郷そのものが,神奈川県と静岡県にまたがっており,パッキーボウルと02068:湯河原温泉郵便局の間になる「落合橋」よりも海側は,温泉街を流れる千歳川が「県境」になっている。湯河原温泉にある大きなホテル・旅館の中にも,所在地が「実は熱海市」というものも少なからず存在するのだ。
 ある意味で,「ほぼ静岡県」とか「ほぼ伊豆」と言えそうな場所なのである。
 行政上は,この静岡県熱海市になってしまう部分を「伊豆湯河原温泉」と称するそうだ。広義の「湯河原温泉」としては,「湯河原温泉」の本体(狭義の「湯河原温泉」)にこの「伊豆湯河原温泉」や「奥湯河原温泉」「浜湯河原温泉」も加えたものを言うらしい。

 そんな意味でも,今回は最後の訪問先として「湯河原パッキーボウル」を選択する。

 ここも含めると,今回は8センターを訪問しようと試みて,2箇所が「廃業」していた,という中で,半数がウッドレーンのセンターだった,ということになる。
 伊豆のボウリング場はウッドレーンだらけ(三島市の2軒を除くとシンセティックレーンなのは「赤沢ボウル」だけ),という状況だ。
 一方で「湯河原パッキーボウル」は,神奈川県に唯一残るウッドレーンのセンターでもある。

 伊東から湯河原に向かうとなると,国道135号を行くことになるのだが,熱海から湯河原にかけては,有料道路の「熱海ビーチライン」という選択肢もある。
 しかし,それほどショートカットになる訳でもないし,パッキーボウルの営業時間が10時から,とさほど早くない,ということもあって,そのまま一般道で進む。
 この,国道135号は,23122:伊豆山郵便局の前を通るのだが,その近辺でJR東海道線の傍を何度となく走ることになる。そのため,東海道線の下り列車で熱海駅が近付くと,この界隈が車窓から見えたりするのだが,実は,この辺りは2021(令和3)年の「熱海市伊豆山土石流災害」によって被害を受けた,まさにその場所である。
 土石流は逢初川に沿って発生したのだが,国道135号がその川を渡る「逢初橋」は,伊豆山局から少し熱海駅側に戻った所にある,赤い欄干の橋だ。

 そのため,あの土石流のニュースを見た時に映し出された風景に,明らかな見憶えがあった。

 「伊豆山局のすぐ近くじゃん……!!」

 そんな記憶もあったので,長男に話そうと思ったのだが,疲れたのか眠ってしまっていた。

 「熱海ビーチライン」と再び合流する門川交差点は,件の千歳川のすぐ手前,つまり静岡県と神奈川県の県境直前ということになる。
 川を渡ってすぐの,湯河原温泉入口交差点を左折し,川沿いに上流方向へと進んでいく。

 そのまま少し進んだところに「【33083-2】湯河原土肥5丁目店」があったので,時間調整も兼ねて立ち寄った。

 カーナビの地図にはその先に「西村京太郎記念館」なる表示があるのだが,前を通ってみたところ,開いてはいないようだった。
 時刻はとっくに9時を過ぎているのだが,10時オープンという訳でもなさそう。
 後で調べたところ,新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,2021年1月に「緊急事態宣言」が発出された頃から「臨時休業」に入り,その後,2022年3月に西村京太郎氏が逝去。そしてそのまま再開することなく,今日に至っているようだ。
 筆者などは,西村京太郎氏の作品は,原作の小説で読んだほうが多い世代だが,長男にとってはテレビドラマのほうが馴染みが深かろう。

 そのまま進むと,湯河原駅前から来て奥湯河原へと向かう県道75号に突き当たる。


 この県道が,前回「湯河原パッキーボウル」に向かう際に利用した路線バスが通る道だが,丁度この交差点にパッキーボウルがある。

 やはり10時からとあり「準備中」の札も出ていた。


 丁度,スタッフと思われる女性が出勤してきたようで「すいませ~ん,10時からなんです……」と言われてしまった。
 駐車場の状況などを確認し,県道75号を少し,奥まで進んでみよう。

 奥湯河原までは,路線バスが頻繁に往復しているので,それほどの悪路ではなかろう。その先も,箱根方面へとつながる「湯河原パークウェイ」へと連絡している。

 奥湯河原の手前に「不動滝」という看板が出ていたので,寄ってみた。


 滝はそれほど大きなものではなかったが,入口付近に茶店のようなものがあり,店主と思しき男性が開店準備をしていた。何かを購入した客へのサービスという形のようだが「足湯」などもある。

 しかし,ここも「開店準備中」なので,特に何もせずに,滝だけ見て終わる。

 奥湯河原のバス終点は,バスが折り返すためだけの最小限のロータリーのようになっていたので,そこで方向転換。
 丁度,湯河原駅行のバスが,すぐ先行していたのだが,時間的に奥湯河原の温泉宿から帰ると思しき旅行客が,次々と乗り込んでいた。

 パッキーボウルに戻ると,まだ10時前だったが,表示が「営業中」に変わっており,階段を登る覚悟を決めて入館。

 

 

 古いボウリング場の中には,レーンなどが2階以上にあるにもかかわらず,エレベータなどがなく,階段で上がるしかないセンターも少なからず存在している。一般の客ならそれほどではなかろうが,ボールもも持参するマイボウラーの場合は,この階段の上り下りは結構大変だ。


 筆者なども使う15Lbsのボールは,約6.8kg。今回は3個入のバッグを使っているため,ボールだけで20kgを超えてしまう。バッグそのものの重さもそこそこあり,更にシューズや小物も入っているため,全体では25kgを超えていると思われる。
 なお,長男は14Lbs(約6.3kg)2個入なのだが,それでも15kgは超えているだろう。

 しかも,今回は2階が会員向けの大会で埋まっているので,3階に上がってほしいとのこと。勿論,これも階段利用だ。更に,当然ながら終了後にまた持って降りることになる。

 かつて「ホーム」として利用していた「湘南ボウル」(2021年3月閉業)も,階段しかない3階にあるという難儀なセンターではあったが,ロッカーを借りていれば,そこから出し入れすればいいのでまだ良かった。
 現在のサブホームの一つである「ボウリング王国スポルト八景店」も,エレベータのない2階にあり,ロッカーも借りてはいるのだが,長男のボールは普段ここに置いてあるものの,大会などで持ち出すことが多く,意外に階段での上り下りを伴う出し入れがある。
 ボウリングを趣味にすると,投球動作のみならず,こういったところでも足腰を鍛えられるような気がする。

 なお,この「湯河原パッキーボウル」の会員ロッカーの多くは3階にあるようで,2階での大会のために出し入れする会員の姿を結構見た。
 普通のボウリング場の運用だと,3階を大会などに使い,一般営業を2階にしそうなところだ。
 そのほうが,一般客が使うがためにレーンコンディションが乱れやすいレーン(この場合は2階)でなく,稼働が少なく,ほぼマイボウラーに限定されるレーン(同3階)で大会をすることができる。ラウンドワンにおける「RBC(ラウンドワンボウラーズクラブ)レーン」みたいなイメージだ。
 多くのセンターでは,このように一般向けと会員・マイボウラー向けのレーンを分けており,入口に近い側が「一般用」,奥のほうが「会員・大会用」であることが多い。

 既述のとおり,長男はここで200UPしたものの,筆者は今回もそこまでは至らず。
 前回も186止まりだったので,いずれまたチャレンジしてみたいとは思うが,このセンターも1972年4月の開業であり,50年を超えている。
 ここがなくなってしまうと,小田原と伊東の間にボウリング場が1軒もない,という事態になってしまうので,末永く頑張ってほしいところだ。

 投げ終えて,県道75号を引き返し,湯河原駅前を通過。
 ここも,三連休最終日とあって,帰宅すると思われる人でごった返していた。

 海沿いに出て,国道135号に突き当たり,左折。
 この先は,有料道路の「真鶴道路」が分岐する。トンネルや橋でショートカットしていくため,一般道よりは所要時間が短そうではある。
 しかし,現在の国道135号も,元々は有料の「真鶴道路」として整備されたもの。以前の国道は,現在,県道740号・小田原湯河原線になっている。若干カーブも多いが,一般道の国道135号で進むことにした。

 しかし「真鶴道路」との合流点を先頭に,途中から渋滞。
 合流後も,若干流れが悪くなる箇所が多く,根府川前後では結構な渋滞になった。

 石橋ICから西湘バイパスに入ると,途端に快調になる。
 これも相模川から先,国道134号になると渋滞が予想されたが,思ったほどではなかった。
 それでも江の島は渋滞するだろうから,と,少し手前で内陸へ。狭い路地が続いたりもするものの,ここまで来れば勝手知ったる「庭」のようなエリアだ。

 こうして,14時頃には帰宅した。

 今回は「100円テーリング」は蚊帳の外になるため,基本的には「ボウリング場めぐり」を中心に組み立てた。
 当初計画では最低8センターを訪問する予定ではあったが,そのうち2センターの廃業と,XYLの体調の関係で,6センターに留まった。
 うち,筆者にとっての初訪センターは4箇所で,当初の目論見からは1つ減ってしまったものの,廃業によるものであり,已む無しと言えよう。
 その意味では,ほぼ所期の目的は果たせたと言えるだろうか。

 今後は,年度末の繁忙期を迎えることから,なかなか時間が作れないかとは思うが,3月下旬に長男が「全国高等学校ボウリング選手権・三重大会(通称・春高ボウリング)」に出場するので,またまた三重県に行く予定が入ってはいる。
 これは,暦の関係もあって,筆者は「ボール運搬」も兼ねて,単独で自家用1号車での往復を予定しているので,その道すがら,多少の「活動」はできるのではないか,と考えている。