箕作から国道414号に入るが,右折すれば下田市街,左折すれば河津の内陸部方面だ。
 1996年は右折して,下田市内の郵便局めぐりへと向かっているが,今回は左折する。

 まず目指すのは,伊豆高原周辺なので,どうにかして国道135号に出なければならない。
 勿論,一度下田市街に出ても行けはするが,道路状況はいいだろうが,あまりにも遠回りになる。

 しかし,国道414号というのは,所謂「天城越え」や河津七滝ループ橋などがあることからも知られている,山越えの道。整備状況は悪くはないものの,天城越えを含む区間ではチェーン規制がかかることも少なくない。
 今回は,そちらに入ることは想定していないが,河津町内に峠道になる区間も存在している。
 若干の迂回にはなるものの,伊豆縦貫道の一部区間として先行供用されている「河津下田道路」(無料)を経由するほうが良さそうだ。

 河津逆川ICから河津下田道路に入り,河津七滝ICで再度国道414号に接続する。これを右折して,一旦国道414号を戻る方向に進むと,程なく県道14号・下佐ケ野谷津線で河津の中心街方面に向かうことになる。

 しかし,この時季の河津は,「河津桜」の最盛期に差し掛かる頃。そんな中の三連休中日とあって,人出が凄いことになっていた。
 市街地に入ったくらいから流れが悪くなり,国道135号に入るまでに半時間は要してしまう。

 谷津から国道135号に入り,左折。
 河津駅方向への交差点を過ぎると,多少流れるようにはなったが,それも稲取辺りまで。
 対向車線は,それこそ河津を先頭にした渋滞になっているが,こちらの渋滞はどこまでなのか,この時点では皆目見当が付かなかった。

 熱川を過ぎても流れず,北川,大川と進むも,自転車よりも遅いスピードにしかならない。

 これは,伊豆高原までずっとこうかな……と,半ば諦めモードに。

 次に目指していたのは,伊豆高原の南端部に当たる「赤沢」。
 ここにある「赤沢温泉ホテル」系列の高級リゾートと思しき「赤沢迎賓館」の一角にボウリング場があると聞いていた。

 元々,この「赤沢温泉ホテル」をはじめとする一帯にある一連の施設は,DHCが手掛けたものだった。
 DHCと言えば,化粧品や健康食品などの企業というイメージが強いのだが,元々は創業者が大学の研究室向けに,海外の研究論文の翻訳サービスを始めたのを端緒とする会社。そのため「DHC」というのも,実は「大学翻訳センター」の略から来ているという。
 またDHCは,かつて「日本女子ボウリング機構(LBO)」という女子プロボウラー団体を立ち上げたこともある。詳しい経緯は省略するが,この団体自体は短命に終わっているものの,DHCはそれ以前にもJPBA(日本プロボウリング協会)の大会スポンサーだったこともあり,ボウリングとは縁の深い企業だったことは確からしい。

 これまたかなりの余談になるが,現在のJPBAが開催する「全日本プロボウリング選手権」などを「共催」している「国際スポーツ振興協会(ISPS)」会長の半田晴久氏は(そのため同選手権には「HANDA CUP」という「冠」が付くようになった),伊豆の国市に本部を置く新宗教「ワールドメイト」の教祖(深見東州)その人である。
 ここで宗教などについて論じるつもりは全くないが,ボウリングに少なからずの縁がある企業・団体が,伊豆半島にも縁があるのは偶然の一致にしては,何か意味あり気にも感じてしまう。

 DHCは,その後オリックスの子会社となる際に,海洋深層水やリゾート関連事業などを切り離した。DHCの創業者は,その切り離されたほうの事業を行う会社の代表となって現在に至る。
 赤沢にあるボウリング場も,当初は「DHC赤沢ボウル」という名称だったが,現在は「株式会社赤沢温泉郷」の経営へと変わり,DHCの「冠」が外れて,単に「赤沢ボウル」という名称で継続中である。

 赤沢温泉が近付いても,一向に渋滞は解消されず,ますますひどくなる一方だった。

 実は「赤沢ボウル」は,10時のオープンから10時30分までに受付すれば,(一人4ゲーム以上,という条件付ながら)1ゲーム当たり400円でプレイできることは知っていた。
 しかし,前日の宿泊地が松崎町であることと,河津桜の混雑は予見していたことなどから,間に合わないのではなかろうか,と考えていたので,そこまで急ぐことはしなかった。
 案の定,ここまでの渋滞の結果,辿り着いたのは正午頃になってしまったから,多少早く出たり,堂ヶ島などに寄ったりしなかったとしても,10時30分までの到着は難しかったのではなかろうか。むしろ,10時40分とかに到着して悔しい思いをしていた可能性もあるから,これはこれで仕方ない,と割り切ることにする。

 

 

 思いがけず(ゲーム単価も高めなのに)結構なゲーム数を投げることになってしまったが,ボウリング場自体はかなりきちんとした設備で,何よりも新しい(2008年4月のオープンらしい)。


 伊豆半島では,ここ以外に残るボウリング場は,全てウッドレーンなのだが,ここだけはプラスティック製のシンセティックレーンだ。メンテナンスもきちんとされており,現状では「伊豆半島唯一のJBC公認競技場」でもある。


 当分は存続するだろうと思われるが,鉄道の駅からは遠いのが唯一の難点だろうか。伊豆高原・伊豆大川両駅の丁度中間に位置しており,どちらから行っても2kmほど離れている。鉄道利用の場合(でボールなども持って行く場合)は,伊豆高原駅からタクシーが無難だろうか。東海バスが前を通るものの,本数が極端に少ない上に,バス停も遠くて,全く使い物にならない。なお,赤沢温泉系の送迎バスはあるようなので,こちらを調べて利用することもできるとは思う。

 ちなみに,全20レーンのセンターだが,地下にあるためか「柱」によって4+6+6+4レーンに仕切られているような構造になっている。


 そのうち,最も左側の4レーン(1~4番)は,かつてその「柱」の間にも「壁」を入れて,「個室」のような構造にしていたらしい。ボウラーズベンチもソファにしたり,壁にも装飾を施したりしていたという。
 これは,隣接する「赤沢迎賓館」の宿泊客専用に用意されていたとのことだが,DHCが撤退するよりも前に,この設定は改称されて,通常のレーンに戻されてしまっていたようだ。
 雰囲気としては,芝公園にある「ザ・プリンス パークタワー東京」の「ボウリングサロン」を「個室」モードにして内装も「目一杯豪華にした感じ」なんだろうと思うのだが,一つのボウリング場を,全くコンセプトの異なる二つの空間として「分割」した例としては,「東京ドームボウリングセンター」の「CuBAR LOUNGE(クーバー・ラウンジ)」などの例がある。広義では,フロアごとにかなり毛色が違っている「シブヤボウリング」とか「新宿コパボウル」なども,その一種と言えなくもない。

 さて,これで筆者が「未訪」のままのボウリング場は,伊豆半島からはなくなった。
 後は,この日の「宿」でもある「暖香園」を目指すだけであるが,既に伊東市には入っている。
 しかし,到着まで巻き込まれていた渋滞は全く解消しないどころか,ますます酷くなっていた。赤沢ボウルから出るにも,信号のない交差点を右折で合流せねばならず,反対側の車線も渋滞とまではいかなくても交通量がそこそこ多いので難儀する。

 この渋滞が,伊東市街まで続いていたらどうしよう,と思ったが,伊豆高原駅への入口や,伊豆スカイライン方面への入口を過ぎ,城ヶ崎海岸への分岐近くまで来たら,急に解消した。

 「何だ……!?」

と思ったら,長男が「ドッグランだよ……」と。

 ドッグランのあるカフェなども併設された「愛犬の駅 伊豆高原」という施設が「渋滞の先頭」だったことが判明する。

 伊豆高原に限らず,伊豆半島全域に「愛犬と○○」な施設が多いことには気付いていたが,10km以上に及ぶ大渋滞の原因がこれとは……。

 思わず,

「おのれ,綱吉ぃ~!!(怒)」

と口走ってしまう。「生類憐みの令」かよ……(笑)。

 これでは「伊豆半島」ではなくて「イヌ半島」である。

 お隣の房総半島は ↑ こんなのにされてるし.


 長男曰く「もう『イヌ急下田』とかで良くね?」だと。