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三郷小学校

東光町2丁目

木版画同好会「ばれんの会」

駒井峯子

 

明治7年11月、堺県第133番小学校として1日世木村護念寺(現高瀬町)に開校されてから120数年の歳月が過ぎた。その間淀川の大洪水、室戸台風による被害など尊い生命をなくした悲しい憶い出があり、校庭の「くす」の大樹は学校ともに幾多の世相の変還を見守ってきた歴史を感じる。

 

小学校で朝のラジオ体操を終えての帰り道、校庭の裏で「くすのき」の大樹に登って遊んでいる幼児が2人。そばには30オ前後の男の人と、その父親らしい人がかたわらにいて、「パパも小さい頃、よくこの木に登って遊んだよ」「・......·」「久し振りだけど、このくすの木も随分大きくなったなぁーおとうさんも」里帰りなのか?親子三代の会話がセミの声と共に聞こえてきた。わが町、明治7年11月25日創立の伝統ある三郷小学校のシンボルはこの「くすのき」であり、100年余り「くすの木」はずっとこの小学校の出来事を見つめ続けて来た。区画の変更と校名の改称などで、明治27年にこの地(東光町)に校舎が移転して以来ずっと。「昭和9年の室戸台風の倒壊」「昭和43年の校舎が火災で焼失」と悲しい出来事も、そして昭和49年には、学校創立100周年を迎え、正門横に記念事業として「百年の庭」が寄贈されこの「くすのき」を中心に、都会ではめずらしいほど「緑が一杯、花一杯」の、自然にめぐまれた環境にある。明治、大正、昭和、平成と世は移り変われど、風雪に耐えて生きてきた「くすの木」の大樹は、毎日元気で明る<遊ぶ子供達をこれからもずーっと見つめてくれることでしょう。

西村節子

(大枝南町)

転載:守口市民憲章制定25周年記念木版画集『守口百景』

作成:守口市木版画同好会ばれんの会1998年

テキスト入力:元市民憲章副会長 はまがみ