守口市民憲章制定25周年記念木版画集『守口百景』
木版画提供:守口市木版画同好会『ばれんの会』1998年

転載:守口市民憲章制定25周年記念木版画集『守口百景』

 

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津嶋部神社

金田町6丁目

木版画同好会「ばれんの会」

高松真澄

 

高瀬神社と共に頃繹註し神名帳」に記された由緒深い神社(祭神は津嶋女大神・素蓋嗚尊、菅原道真です)で元和元年(1615年)5月、大坂夏の陣の兵火で社殿が炎上したと伝えられ、その後、幾多の再興が行われてきたが、元禄年間(1688~704年)に再建された社殿は、現在の社殿と同規模で相当大きく当時の隆盛がうかがえる。

 

私達が住む地域の、氏神様は、守口市(旧庭窪の5ヶ村)と、寝屋川市(旧9ヶ荘の2ヶ村)の、7ヶ村にまたがる広範な地域に約500戸の集落が点在し、年に一度の秋の大祭には多くの参詣者により、賑わいをみせるのどかな田園風景の村でした。また、当時は行きかう車なども少なく、祭礼の宵宮、本宮には7ヶ村から夫々村人達が持つ織を先頭に、長提灯数基が粛々と行進、続いて数多くの青年団員に担がれた大太鼓がリズミカルな伊勢音頭の掛け声で道中所狭しと練り歩き、躍動感溢れる暴れ太鼓を披露しながら、宮入りを済ませます。境内に入れば7ヶ村が所定の場所に織、提灯、大太鼓を置き勢揃いし一斉に鐘や太鼓の囃で賑々しく祭礼気分を盛り上げる様子は壮厳にして豪華そのものでした。しかし、この光景は昭和40年頃を境に、各地域では住宅が建ち始めた事から状況が一変、交通量の激増など諸々の要因が派生し

その勇姿を見ることは望めなくなりました。最近はいづれの神社でも祭礼につきもののだんじり囃子に囃されて賑わいを見せる、だんじり曳行が日本人の心に通ずるものがあり、また地域住民の触れ合いの場として脚光を浴び年々盛大になって参りました。ご多分に漏れず当神社でも2~3基のだんじりが地域の役員や子供達により曳行され祭礼のムードを盛り上げています。私達が本当に何気無く過ごしてきた風習の中で古き良き時代の思い出と歴史を持つ大切な什物(織、提灯、太鼓)を子供から孫へと後世に永く保存継承していただきたいものと思います。

地原克己

(金田町6丁目)

写真提供:石橋勝彦