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佐太天神宮

佐太中町7丁目

木版画同好会「ばれんの会」

高松真澄

 

 菅原道真が太宰府へ流される途中、しばらく舟を繋いだところで、菅公死後の天暦年間(947~57年)に菅公を慕ってほこらを建てたのが創建である。室町期には大庭庄の惣社として崇拝されるようになった。現在の社殿は永井尚政・尚庫父子や淀屋辰五郎の保護により整備、本殿は寛永1 7年(1 6 4 0年)の建立。

 

 国道1号線を北上すると右側に欝蒼とした森が視界に入ってくる。大阪みどりの百選に選ばれた「佐太天神の森」である。正面の一の鳥居から林立する石灯篭に囲まれた参道を二の鳥居。赤門を経て社前に詣でた後、まず目を引くのが回廊上部に掲げられた天神絵巻である。この絵巻は当社に残る「佐太天神縁起絵巻」(市指定文化財)の中から、故鈴木渓泉画伯が模写したもので、御祭神・菅原道真公の生誕から太宰府配流までの精進努力と苦渋の日々や死後のたたりまでもが詳細に描かれており、参詣者に深い感銘を与えている。本殿は、寛永17年(1640年)に再建したもので、江戸初期の建築様式を伝える建築史上貴重な建造物としての評価も高く、境内には由緒ある古事来歴を伝える石燈や石碑、句、石井筒のほか後水尾帝の勅梅などが点在している。また、「戎祭り」への参詣者も年々増加し境内を賑わしている。

岡敏夫

(佐太中町6丁目)

写真提供:三森定昭

転載:守口市民憲章制定25周年記念木版画集『守口百景』
作成:守口市木版画同好会ばれんの会1998年
テキスト入力:元市民憲章副会長 はまがみ