本朝妖綺譚『白鷺の城』 ミュージカル・プレイ『異人たちのルネサンス』-ダ・ヴィンチが描いた記憶...
9,356円
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白鷺・異人たちのルネサンスともども、非常に真風映えした作品でした。
真風で見たい役はロン毛・コスチューム・オラオラ+殺気のような、とりあえずボリューム感を前面に打ち出した三白眼の効く役だとが(トニーよりベルナルド、ロミオよりやはりティボルト)、今回のレオナルドは哀愁を帯びた役。
「殺っちまおうぜ」 というより「逃げよう」という内省的な役でも真風の存在感が物語全体をしっかり覆っていて、恋の陰影がしっかり見えた。
話としては矢印が全部過去に向かっていて、青年の恋の勢いが感じられず、中年か老人の恋のように回顧的。
年寄りが寝てる間に踊りだして世界の王になれとは言わないが、若い二人の恋が、おっさんsじーさんsの政治権力の中で翻弄されるだけというのはちと救いがない。
カテリーナがあまりに抑圧されていてほとんど真の感情が外に出てこないのと、レオナルドとカテリーナの心が通じ合うシーンが一瞬しかないので、引き裂かれた恋の成就のカタルシスも感じにくかった。
金髪巻き毛の真風レオナルドが素晴らしい美青年だったのと、青年の憂いをデリケートに演じていたのでなんとか物語として成立した感がある。
歌も例の真風ストライドも独特の魅力になって舞台をしっかり埋めていて、トップさんだとしみじみ感じた。
まどかちゃんも、心情をストレートに出さない難しいファムファタール役をよく努めてた。
せめて最後の死のシーンは美しいドレスで見たかったなあと。
モナリザつながりでの黒いドレスはわかるけど、そこは創作の翼を広げていただいて・・・
死を美しく、ドラマティックに描く宝塚でも、ヒロインが身代わりになって死んでしまうときは色々ぞんざいな気がする。
心中とか男に刺される時は一曲分ぐらいの長さがあるけど・・。
フィナーレの黒のお衣装と、パレードのアイスブルーのお衣装の真風が瞠目する美しさ。
水晶のように冴え冴えとした水色の上着に、真鍮か銀細工と見まごう精巧な装飾がふんだんに施されていて、氷の貴公子、いや、もはやスウェーデン大聖堂。
とても宙組らしいお衣装がよく似合ってる。
真風のマント姿を見るたびになぜかいつも頭に浮かぶのが、「ジークフリート」という単語。
白鳥の湖の中のおそらく世界で一番有名であろう直系王子の名前。
世界のイケメン王子、みたいなnaverまとめの中にこの真風の写真とか混ぜ込んどいてもばれない気がする。
■もろもろ
・キキちゃんの衣装が有村先生だったとは私は信じない
・シャンシャンが、T字帯履いた臀部に見えてしょうがない自分の疲労度★★★★★
・愛ちゃんグイド、貫禄の敵役ぶり。
ぞくりとする悪の色気もあって、ルネサンス期のしたたかな怪物たちがカトリーヌを追い詰めていく閉塞感を作り上げてた。
愛ちゃんを見るといつも宙組を観に来たなあ、と実感した。
その体の中にストックされている豊富な宝塚ライブラリー、宙組の歴史の記憶と経験が、専科で満開に華開きますように。
画面のこちら側でも唱和してました。
"愛ちゃん" "頑張ってー!"
うらら様の素の美しさを最も引き出していた写真は、愛ちゃんフォトブだったと今でも思う。
・風馬翔退団を女神こと語り部・せーこさんが語ると
「古の都から、輝く明るい星が落ちてきたの。
その星は、ロンドンのランベス・スタイルで底抜けに楽しく足をあげ、
カサブランカの風に吹かれて、フィレンツェのランウェイでクラシコなNICE GUYとなったわ。
キャパの記録によれば、その華やかなりし星は銀河へとたどりついて歴戦の猛将となり、蒼羽帝国では熱い帝国軍の双璧となって大暴れ。
勇敢な戦士となったあなたはクリスト伯爵に命を救われてから命を尽くして彼を助け、
男装の麗人の理想は阻もうとしたけれど、
エジプト戦では死と引き換えにした伝令で国を奮起させ、
黄泉の国で閣下の分身となって、闇を統べる者となったのね。
エースの側でサイトー先生に扮したあなたは神々の背中を見送ってくれて、
新しいクールなリーダーのために大きな体を張って、
赤い河のほとりで皇太子にくろがねの力を与えた。
いつだってあなたは強くあたたく朗らかで、見る人を楽しませてくれたわね。
あなたこそ 「普通とは違う能力を持つ」異人、エンドレス・エンターテーナー!!!! 」
聖夜の夜空に天翔けて去る真っ白なサンタに、キュートな鹿の角をつけた退団者の皆様に、とこしえに聖なる祝福を。
"メリー" "クリスマス!"