令和6年1月10日(水)
おはようございます! ご訪問 ありがとうございます。
明日1月11日は「鏡開き」の日ですよね?
鏡餅は単なるお供え物というより、神様が宿るところと考えられており、鏡餅を開くことで、年神様をお送りし、お正月に一区切りをつけます。
さらに、年神様の力が宿った鏡餅を食することで、その力を授けてもらい、この一年が健やかで幸多い年になりますようにと、一家の無病息災を願います。
鏡開きは鏡割ともいわれており、昔から鏡餅を木槌などで叩いて割っていました。これは、包丁などの刃物で切り分けることは、年神様にお供えしていたものに刃を向けることにつながり、大変失礼なこととされていたためです。
最近はお供えする鏡餅もパック詰めのものが主流となっており、鏡開きを行なう ご家庭も少ないようですが、機会があれば実際に鏡開きを行ない、「おしるこ」、「あげもち」などにして楽しんでみてください。
さて、今日は「山岳遭難」についてです。
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昨年2023年の夏、
ついに山岳遭難が史上最多に!
コロナ禍で減少傾向が続いていた「夏山遭難」ですが、昨年は山岳遭難が多発しました。
発生件数・遭難者数とも過去最多となったそうです。毎日、新聞やネットニュースで報道していましたね!
しかし、死亡事故は必ずしも多くはなかったそうです。昨年、夏山ではなにが起きていたのでしょうか?
昨年9月の中旬頃に2023年の夏山期間(7~8月)の山岳遭難統計が発表されました。
期間中、738件の遭難が発生し、遭難者数は809人、うち死者・行方不明者は61人(7.5%)、負傷者351人(43.4%)、無事救出者397人(49.1%)でした。
この遭難状況を統計上の観点から見ると、特徴として、次のような点が挙げられます。
1.発生件数・遭難者数とも過去最多
2.前年と比較して件数で11%程度の増加
新型コロナ関係の制限が今年から基本的に解除されましたが、
遭難の大幅増加という変化にはなりませんでした
3.死亡遭難が多いように見えるが、2018年以前はもっと多い年もあった
今年が特別に多いわけではない
4.無傷救出などが多く、被害程度の少ない“軽い遭難”の多いことが特徴
5.態様別では「疲労・病気」による遭難が多く過去10年間で最大比率でした
「転落・滑落」と「道迷い」が例年より少なく、「転倒」が増加した
やはり“軽い遭難”が多い状況と関係している
8月は台風の接近~通過はありましたが、全般に登山日和の日が多かったようで、夏山登山者も多かったとみられ、マスコミで遭難のニュースが連日のように報道されました。
しかし実際には、8月は、7月よりも遭難が少なかったようです。
8月中の死亡・行方不明遭難は下表のとおりで19件把握でした。ですが7月中の死亡・行方不明遭難は27件でした。
また遭難場所別では、北アルプスの遭難が最も多く93件以上多発しており、第2位は富士山(69人)、第3位に秩父山系(41人)が続きました。
以下に、山域別の状況を簡単にご紹介します。
[北アルプス]
北アルプスでは93件以上の遭難がありました。
・後立山連峰では半数以上が白馬岳周辺での発生です。なかでも白馬大雪渓で多発しています。ただし死亡事故はありません。
・剱・立山連峰では立山で4件、剱岳で5件の遭難事故がありました。少ないですが、発表されない事例がもっとあるのかもしれません。
・また、薬師岳や雲ノ平周辺でも各数件の遭難がありましたが例年並みの範囲だと思います。
剱岳北方稜線の小窓ノ王では7月17日に2人、8月6日に1人、どちらも滑落で死亡しています。
雷鳥沢キャンプ指定地と立山連峰
・槍ヶ岳では一般ルート(槍沢、東鎌尾根、西鎌尾根)、北鎌尾根、南岳周辺で各数件の遭難がありましたが、死亡事故はありませんでした。
北鎌尾根は事故の多い所ですが、2件はアプローチでの落石と滑落、1件は疲労で動けなくなったもので、バリエーションルートに挑戦するわりに低レベルな遭難でした。
・穂高連峰はやはり最多発していて20件以上の発生でした。
死亡事故も多く、前穂高岳の北尾根(7月16日)、同重太郎新道(7月16日)、同吊尾根(7月23日)、奥穂~西穂稜線(8月18・21・25日)、西穂高岳(7月31日)で遭難死亡しています。
・常念山脈でも例年並みの遭難発生となっており、燕岳~大天井岳の縦走コース(8月4日)で滑落死亡しています。
西穂高岳〜奥穂高岳は険しい岩稜が連続する
[南アルプス]
主稜線のコース上で20件弱、その他の山域(前衛を含む)で数件です。
広大なエリアのわりに遭難は少なかったと思われます。
農鳥岳で4件発生し、1件(7月27日)は滑落死亡事故でした。
大門沢登山道は荒れているかもしれず要注意です。また、安倍山系・山伏岳で男性が行方不明になっています。
[八ヶ岳・中央アルプス]
遭難発生数は少なく、疲労、病気(軽症)、下山遅れなどの“軽い遭難”が多いです。赤岳(8月29日)で高齢男性の死亡事故が起こっています。
[富士山]
57件(遭難者数66人)以上の遭難がありました。警察庁発表でも最も遭難の多い山域となっています。
コース別に見ると、富士宮口28件(28人)、御殿場口9件(15人)、須走口16件(18人)山梨県側4件(5人)です。登山者の多い山梨県側の遭難が4件だけなのは不自然ですが、カウントの仕方が静岡県側と異なっていると推測されます。
富士山の遭難多発は今夏いちばんのトピックで、マスコミで盛んに報道されました。その実態はまさに “軽い遭難” が多発しているということです。
「体調不良で歩けない」「疲労で歩けない」「転倒して頭から出血」「足首をひねってケガ」、なかには「仲間からはぐれた」「足が痛い」「雨が降ってきた」などの救助要請もあったようです。
死亡事故の4件はすべて病死事故でした。
富士宮口で7月17日と9月1日、山梨県側で7月14日と7月16日に発生しています。
低体温症による死亡事故はありませんでした。
富士山では“軽い遭難”が多発、マスコミをにぎわした
[首都圏近郊1]
関東・山梨付近のエリアでは30件以上の遭難がありましたが、奥多摩、奥武蔵、丹沢、中央線沿線などでは公表されていない事例も相当数あったのではと思われます。
都市圏では真夏でも近郊での日帰り登山が活発に行なわれており、そこでの遭難多発が現代の大きな特徴です。
死亡遭難事故は栃木県真岡市・根本山(7月2日)、上毛・子持山(7月16日)、奥秩父・乾徳山(7月16日)で発生しています。
奥多摩の夏山登山。森の中は案外涼しい
[首都圏近郊2(上信越)]
30件以上の遭難がありました。首都圏から少し遠いですが交通網の発達により日帰り対象になっているエリアです。
けっこう山深くて谷筋にはけわしい地形が隠れているなど、重大事故の起こりやすい危険な山々といえます。
死亡事故が比較的多く、八海山(7月18日)、越後駒ヶ岳(7月23日)、巻機山(8月6日)、戸隠連峰・裾花川(7月16日)、根子岳(7月29日)で発生しています。
[北海道・東北]
地理的範囲が広く各地で遭難事故が発生しました。
頻発山域は、北海道では大雪・十勝・日高山系、東北では岩手山、鳥海山、月山、飯豊・朝日連峰などです。
北海道は山の難易度が高く死亡・行方不明が多くなっています。
東北では山菜採りの遭難を除いて、死亡遭難事故は鳥海山(8月27日)、安達太良山(7月12日)の2例だけでした。
大朝日岳(8月14日)では高齢男性が行方不明になっています。
[白山・北陸]
白山で6件の遭難がありましたが、ほとんどが軽度な事例でした。
大日ヶ岳(7月29日)で病死事故、富山県小谷部市(8月30日)で警察官の職務中の滑落死亡事故、岐阜県高山市の宇津江四十八滝(8月11日)で観光客の滑落死亡事故がありました。
[大阪・京都・名古屋近郊]
発生件数は少ないですが、12事例のうち死亡・行方不明が7件もあります。
理由は不明です。
伊吹山(7月16日)で行方不明、鈴鹿山脈の御在所岳(7月16日)、神崎川(7月17日)、武平峠付近(9月1日)、大峰山脈・レンゲ辻(8月26日)、琵琶湖南部の逢坂山(8月20日)、奥美濃・川浦渓谷(7月29日)で死亡事故が起こっています。
[中国・四国・九州]
全体的に発生件数は少ないですが、大山は例外で6件発生しています。
軽度な事例がほとんどです。
中国山地東部の三原山(9月3日)で死亡事故がありました。
九州の求菩提山(7月15日)、多良岳(7月26日)、双石山(8月12日)、諏訪之瀬島(7月25日)でも死亡事故がありました。
以上のように、本格的山岳エリアに限らず全国の幅広い山域で遭難事故が発生して いるのが特徴です。
死亡・行方不明事故も、剱岳や穂高連峰のような難峰だけでなく、全国の有名無名 の山で起こっています。
「典型的な夏山遭難」というようなとらえ方は現状と合わなくなってきているように思います。
それではまた!