こんにちは。

月に1度のシリーズ「箱根路を駆けた名選手たち」です。今回紹介する選手は森谷 修平(日大卒)です。

 

日大と言えば強力な留学生による派手なごぼう抜きが名物のひとつとなっています。しかし、チーム全体では苦戦することが多く、留学生の活躍のみがピックアップされてしまうことも度々あります。

 

そんな日大が最後に箱根駅伝でシード権を獲得したのは5年前のこと。そしてこのとき、エース区間の2区を走ったのは留学生ではなく、日本人エースでもない森谷でした。

 

今回は彼が2区を走るようになるまでのストーリーを紹介します。

 

 

〇高校時代

東海大山形高校出身の森谷。当時の持ちタイムは14分40秒台と決して目立つものではありませんでしたが、3年次には全国高校駅伝で3区26位としっかりまとめており、ポテンシャルの一端を見せていました。

 

 

〇大学時代

 

■1年次

高校卒業後は日大に進学しました。同期には世代トップクラスの田村がおり、彼に導かれるように森谷もさっそく頭角を現します。

 

勝負レースデビューとなった箱根予選こそチーム内11位と貢献することはできませんでしたが、5区を任された全日本では区間5位の好走。チームの4位入賞にしっかり貢献します。

 

そして迎えた初めての箱根駅伝。森谷は大きな期待を背負って3区に起用されました。

 

レースは1区堂本、2区ベンジャミンが共に激走を見せて上位発進。森谷は先頭も見える2位で襷を受けることに。

 

しかし、先頭争いのプレッシャーなのか全くペースが上がらず、区間最下位のタイムで9位まで順位を落としてしまいます。

4区以降も悪い流れが連鎖し、チームは結局最下位に沈むことに。森谷にとってはあまりにも苦い箱根駅伝デビューとなってしまいました。

 

■2年次&3年次

1年次のリベンジを果たしたいところでしたが、森谷はここから長い間故障に苦しみ、表舞台から姿を消しました。

 

チームも2年次には箱根予選落ち、3年次はベンジャミンが2区で区間賞を獲得しながらもその後が続かず総合15位と、低迷から抜け出せていませんでした。

 

■4年次

森谷は駅伝主将に就任しますが、1年次の箱根駅伝での失速を最後に、2年間も走れていなかった選手を再び大学駅伝の舞台で見ることになると思っていたファンはほとんどいなかったように思います。

 

しかし、この空白の期間にも地道なトレーニングを辛抱強く続けていた森谷を陸上の神様は見放しませんでした。

 

秋口に5000mで自己ベストを更新して復活の一歩を踏み出すと、3年ぶりの箱根予選ではチーム内5位で通過に貢献します。

そして久しぶりの大学駅伝となった全日本でも6区10位と堅実に繋ぎ、11月には10000m28分台を叩き出すなど、どんどん調子を上げていきました。

この頃にはもう、復活した森谷が箱根駅伝でどんな走りをするのか楽しみで仕方ありませんでした。

 

最後の箱根駅伝。

日大はシード権を獲得するために、大砲のキトニーをより稼げる可能性の大きい5区に起用する作戦に出ました。

では、華の2区は誰が走るのか。

日本人エースの田村は故障により出走することができない状態。続く存在の荻野は確実に上位でスタートするために1区に使いたい。

 

そこで選ばれたのは森谷でした。

 

12位で襷を受けると、他校のエース達と真っ向勝負を展開。2人抜きの区間9位と、堂々の走りで箱根路での戦いを締めくくりました。

 

そして彼の奮闘を間近で見ていた日大は、いつの間にか闘う集団となっていました。

全選手から伝わってくる、誰かに頼るのではなく、自分が勝負をするという姿勢。

とっておきの5区キトニーが区間10位と不発に終わったにも関わらず、総合7位と復活のシード権を獲得することができました。

 

 

〇社会人時代

日大卒業後は地元の山形市役所に勤めながら、市民ランナーとして精力的に各地のロードレースに出場しています。

競技レベルは非常に高く、市民ランナー界でも特に強力な選手の一人でもあります。

 

 

〇最後に

今回伝えたかったことは、どんなに厳しい状況になったとしても、諦めずに努力を続ければ報われることがあるということです。

 

そして、これだけ心の強い選手がいたからこそ、当時の日大はいい結果を残すことができたのだと思います。

 

森谷の卒業後、また苦しい戦いの続いている日大ですが、今のチームは、森谷が在籍していたときのような一人ひとりが自ら戦える集団になりそうな予感があります。

 

そうやって日大が逞しく戦えるようになったとき、また森谷のことを思い出すのでしょう。

 

次回はまた箱根駅伝の振り返りに戻ります。お楽しみに。

 

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