こんにちは。
新チームとなった各大学の注目点をキーワードと共に紹介するシリーズの第二回。
今回は國學院大を紹介します。
國學院大の今季のキーワードは「3年生主将」です。
箱根駅伝では7年間シード権から遠ざかっている國學院大。今季の主将は3年生の土方が務めます。これはブレイクスルーへの特効薬となり得る施策です。ということで、今回は3年生主将について掘り下げていこうと思います。
〇3年生主将が生まれるメカニズム
箱根駅伝を目指すようなチームにおいて、主将は基本的に4年生が務めます。4年生が務めることに違和感を得る人はそうそういないと思います。やはり、そのチームでの在籍経験が一番多く、年齢的にも一番高い学年の選手がチームをまとめることは自然なことでしょう。
しかし、自然な流れに逆らってでも3年生が主将を務めるケースも稀にあります。当然、最上級生からの反発も予想される中、敢えて3年生主将が生まれる場合の前提条件としてよくあるものを整理してみました。
①チームが低迷期にある。
②競技力、リーダーシップに非常に優れた三年生がいる。
③3年生に強力な選手が複数いる。
①について、やはり大ナタを振るうにはそれなりの理由があります。チームが低迷期にあるとき、流れを変えるために3年生を主将にすることがあります。これは二年間かけてじっくりチームを立て直したいという狙いによるものです。しかし、実際は一年目から好成績を残すケースが発生しています。（実例は後で紹介します）
②について、3年生主将という重責を担えるような優れた器を持った選手がいることが条件になることは想像に難くないと思います。上級生に対して厳しい発言をしなければならない場面も出てくるでしょう。それを可能にするのは高い競技力と人間力なのです。
③について、②のような優れたカリスマがいたとしても、一人だけでチームをまとめることは難しいです。そこで、同学年にサポートできるような、強力な選手が複数いることが成功の鍵となります。
では、実際に3年生主将を据えることで低迷していたチームを見事に上昇させた例を２つほど紹介します。
〇日体大・服部主将（2012～2013年度）の例
日体大はそれまで箱根駅伝で9回中8回シードを獲得するほど安定して強さを発揮していましたが、服部選手2年時に総合19位とチーム史上最低順位まで落ち込んでしまいました。そこで、別府監督（当時）はこの大会1区2位と唯一と言える好走を見せた服部に主将を任せる決断をしました。
幸いだったのは同学年に本田、矢野と頼りになる選手がいたこと。服部と合わせて三本柱としてチームを盛り上げ、翌年の箱根駅伝ではなんと優勝を果たしてしまいました。このとき、復路で高柳、高田、谷永といった4年生がそれぞれ区間2位の好走を見せたあたり、チームとして上手くまとまっていた印象を受けます。
翌年も圧倒的な力を見せた東洋大には屈したものの、総合3位を確保するなど充実のシーズンを送った日体大。服部の主将抜擢は大学史上最低のシーズンからすぐに立て直すための特効薬となりました。
〇神奈川大・鈴木健吾主将（2016～2017年度）の例
神奈川大はそれまで箱根駅伝では11年連続でシード権を落としていました。好選手はいるのに、ブレーキが発生することが多く、シード権争いに絡むことすらできていませんでした。そんな停滞感を打破するために大後監督は鈴木健吾を3年生主将に任命しました。
その後の神奈川大の飛躍は皆さんもよく知るところだと思います。主将一年目には自ら2区区間賞の快走でチームを牽引し、実に12年ぶりのシード権獲得。主将二年目は箱根駅伝こそアクシデントにより13位に沈みましたが、全日本大学駅伝を制するなど、神奈川大は学生長距離界の主役として存在感を発揮しました。
実は大後監督はそれまでにも3年生主将の起用（井上選手、2013～2014年度）や、箱根駅伝16人のエントリー枠に14人しか登録しないなど、思い切った策を講じてきたのですが、なかなかうまくいっていなかっただけに、この二年間の飛躍は本当に嬉しかったと思います。
〇今年度の國學院大の場合
ここまで3年生主将が成功したケースを紹介してきましたが、今回の國學院大にも類似する点があります。それは競技力、人間力に優れた選手がいること、それを盛り立てる同期がいることです。土方はチームの象徴となれる可能性のある選手です。箱根駅伝4区や丸亀ハーフなど説得力のある好走を連発しています。また、同期の浦野、青木も國學院大の歴史に名を残せそうなほど強力な選手です。この3選手を軸に、國學院大が一気にブレイクスルーする可能性は十分にあります。皆さんも注目してみてください。
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