

今回は、第一種衛生管理者試験の解説で、『特別教育(ガンマ線透過写真撮影)』についてです。
それに関する第一種衛生管理者の問題では、次のような選択肢が出題されます。
「ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真撮影の業務に労働者を就かせるときは、特別の教育を行わなければならない。」
この選択肢は、正しい記述です。
この記述は、ガンマ線という有害な放射線を用いる作業に、新たに就かせるとき、特別に教育が必要かどうかを問うものです。
ガンマ線とは、病院のレントゲン写真撮影で使用するエックス線と同じように、物体を通り抜ける性質を持った放射線のことをいいます。
ですから、ガンマ線を使用すれば、一定の物体を透かしてみることができるのです。
このガンマ線を発生させる物質を装着した装置が、ガンマ線照射装置です。
この装置によって、肉眼では見えないものを、壊さずに見る事ができるのです。
例えば、コンクリートの壁があって、鉄骨がどこに入っているのか確認する作業があるとしましょう。
もちろん、鉄骨はコンクリートの壁に埋まっていますので、肉眼では確認できません。
ここで、ガンマ線照射装置の出番です。
この装置で調べたいところに向かってガンマ線を照射すれば、壁に穴を開けなくても、壁を透かした写真を撮影する事ができます。
また、このようなガンマ線照射装置を使用した写真撮影の業務を、透過写真撮影業務と言います。
ただし、透過写真撮影業務では、ガンマ線の人体への被ばくに注意しなければなりません。
ガンマ線は有害な放射線で、人間が被ばくすると発がんの原因となる事があります。
そこで法令では、このような危険、有害な業務に労働者を就かせるときには、その労働者の安全と衛生を確保するために、特別の教育を行うことを定めています。
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(これメッチャ重要です!)
この特別教育が必要な危険、有害業務は、40種類以上あります。
そのうち代表的な業務を次に示します。
1.ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務
2.エックス線装置を用いて行う透過写真の撮影の業務
3.チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務
4.高圧室内作業に係る作業室への送気の調節を行うためのバルブ又はコックを操作する業務
5.気閘室への送気又は気閘室からの排気の調整を行うためのバルブ又はコックを操作する業務
6.潜水作業者への送気の調節を行うためのバルブまたはコックを操作する業務
7.再圧室を操作する業務
8.高圧室内作業に係る業務
9.四アルキル鉛に係る業務
10.酸素欠乏危険場所における作業に係る業務
11.特定粉じん作業に係る業務
12.廃棄物焼却炉を有する廃棄物の焼却施設においてばいじん、及び焼却灰、その他の燃え殻を取り扱う業務
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(これメッチャ重要です!)
例えば、4月に入社した新入社員が、「1.ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務」に就く場合、特別の教育を行わなければなりません。
他にも、すでに入社しており、今まで人事部に居た労働者が、新たに「1.ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務」に就く場合なども、特別の教育を行わなければなりません。
また、特別教育の項目は、それぞれの業務で異なります。
例えば、「1.ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務」であれば、次の4項目について教育しなければなりません。
1.透過写真の撮影の作業の方法(1時間30分)
2.ガンマ線照射装置の構造及び取扱いの方法(1時間30分)
3.電離放射線の生体に与える影響(30分)
4.関係法令(1時間)
それぞれの項目のカッコ内は、少なくともその教育にかける時間を表しています。
なお、特別教育の実施者は、特に資格などは必要ありませんが、その業務について適切な知識と経験を持つ人でなければなりません。
ここで、今回の選択肢に戻りましょう。
すると、「ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真撮影の業務に労働者を就かせるときは、特別の教育を行わなければならない。」という選択肢は、正しい事がわかります。
特別教育が必要な業務は大切ですので覚えておきましょう。
>>それぞれの科目の目次はこちらからどうぞ。
◇【目次】[第一種衛生管理]関係法令(一般)
◇【目次】[第一種衛生管理]関係法令(有害)
◇【目次】[第一種衛生管理]労働衛生(一般)
◇【目次】[第一種衛生管理]労働衛生(有害)
◇【目次】[第一種衛生管理]労働生理
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