決戦の金曜日は首尾よく千葉県50キロ

万収煙草のコンビニで見つけたこれ

噂には聞いてたが食べたことはなかった

購入食す 銚子電鉄の哀愁 う〜んぬれ煎餅


いやその哀愁なんてものではない

千葉から高速を錦糸町で降りて手があがる

『財布落としちゃってさ家で払うからいい?』

風貌は中小企業の部長?零細企業の社長?


長い距離なら慎重になるが千円チョイの距離

最悪取りっぱぐれても良いやと乗せた訳だ

着いた所は下町に似合わぬ大型高級マンション

車寄せにて『ごめんねすぐ戻るから』丁重だ


しかしエントランスインターホンから離れない

(あっ実は鞄ごとやられたな)確信した

午前3時過ぎまで酔いが覚める程探したろう

諦めて腹を括ったところに俺が通った訳だ


インターホンを鳴らす何度も鳴らす

奥さんは起きない いや起きていても出ない

それでも鳴らす 祈るように鳴らす

その丸めた背中の哀愁たるや 言い表せない


普段は金持って来るまでメーター生かすが

妙に身につまされて1620円で止めた

(もういいよ信用するから後日振り込め)

と、思った矢先彼は外に出て裏口フェンスへ


1回目高すぎて挫折 別の場所は生垣が邪魔

3回目のフェンスでない塀に木を使い攀じ登る

(大丈夫か?そこまでしなくてももういいよ)

車外に出て声を掛けようとしたら姿が消えた


『あう•••』声にならぬうめき声が聞こえた

生憎塀の向こうは見えない(大丈夫か?)

心配したが少ししたらフェンスに影が動いた

(玄関開けてもらえるだろうか?)煙草を吸う


気になって先程の塀にひょいと登ってみる

真下にはペット用だろうか水道の蛇口

(これに足?いや股間だったら強烈に痛いな)

踏んだり蹴ったりとはこんなことなんだろう


ハメ外しちゃったんだろうな接待かなんかで

いつもなら帰るのについフラフラと誘惑に

シラフなら近づかないヤバそうな店に捕まり

飲みすぎて忘れたか飲まされて忘れさせられたか


(5分待って来なかったら自腹切ろう)決めた

その時足を引き摺りながら『ゴメンね〜』

戻ってきたあくまで人の良い下町のオヤジだ

完結まで25分 戻る姿にも滲む哀愁であった