以前このブログで取り上げたお店であります
上野の地にありながらいつも通る道でもなく
何やら他所者には敷居が高い雰囲気でもあり
なかなか敷居を跨ぐ事が出来ないでおりました
先日の事若い後輩と呑み2軒目を模索したなか
GWという事もあり開いている店がない
其れではダメ元でと向かった先がこの店でした
それは繁華街を離れた処に灯る赤いネオンの店
暗闇に佇むレンガ造りの建物には蔦が絡まり
引戸を開けると酒瓶を置いた大きなテーブル
2人の先客が軽く会釈をしてくれたと同時に
『いらっしゃいませ』女性店主の静かな声
気難しそうな細身のマスターを想定していた
だからその女性の声に狼狽しつつカウンター
ジャズが壁の大型スピーカーから溢れている
その音が積み上げられたレンガ壁に染み込んでいる
暫し2人は兎に角建物を無言で見回した
いや何処を見てもその歴史の美しさに呆然
溜息が出た頃琥珀色の飲み物が差し出された
『いつからやってるのですか?』問うた私
『40年ほど前に主人が始めました』ママ
『建物は戦前の物ですか?』『明治の築です』
入口のアーチ型に積まれた技術に息をのんだ
『テーブルは以前の入口の戸板で作りました』
『今の引戸の下側は明治時代の看板を嵌めて』
『主人に音楽仲間が多かったのでお客様が』
『ええ亡くなってからこうして私がひとりで』
その横を更に高くまで続く漆黒の階段に
若い後輩は『上もあるんですか』微笑んだママ
『ご覧になりますか?』電気を点けてくれた
軋みもしない良く手入れされた階段の先には
時空と言う空間があるなら真さに此処だと
そんな部屋がゆっくりゆっくりと時を刻んだ
『なんだ此処は』2人は静かにはしゃいだ
少し寂しげに言う話は私の専門分野だが
やるべき事は全てやっているようだった
『重文に指定させましょう』後輩はそう言った
静かに微笑むママと溢れでるジャズと
それ以上に語りかけてくる時空の囁きは
琥珀色の液体を魔法の様に熟成させてくれる
Once Upon A Time 是非あなたも体感を



