18時20分パソコンの画面がフリーズする
(こいつらの寿命は5年以内なのかいいや明日で)
なげやりにログオフしたのはそれが理由ではなく
突然遊びにきた後輩が喋りで集中出来ないからだ
『出掛けるぞ』 『じゃ事務所戻ります』
『 どこ行くんですか呑みですか』『いや打ち合わせ』
事実打ち合わせはするだろう そんな頃彼は
何をしてるやら少しの自由な時間潰しの筈である
私は赤羽に向かった 扉を開けると右奥に
陣取る兄さんの口許が笑う『久し振りやね』
『久し振りって今月会ってるじゃないですか よっちゃんが・・・
あれおとっつぁん達と呑んだのはその前?後?でしたかね』
二人して既に時系列すらあやふやなたった29日の3月だ
忙しさの優劣は兄さんに分がありそうなので愚痴にも似た
世間話を聞いてもらう『難儀やねぇ』『きっついなぁ』と頷く
この場がどんなに心を癒してくれるやら ありがてぇ事だ
『話は変わるけど・・・』ようやくぴんきりの打ち合わせ開始
お互いイメージは頭の中にある《アルバム作成》という大仕事
『あれはこんな感じで行こうと・・・』楽器を持たぬ打ち合わせは
端で聞いてたらなんのことやらわからないだろうが兄弟は解る
『でまた秘密兵器買うてしもた』まだ袋に入った新兵器は
『おぉなるほど』それは今後兄さんのイメージを膨らますのに
大いに役立ちそうなアイテムである ヤバイ今後の練習の
成果の優劣も分が悪くなりそうだ 『ビールおかわりね』
相変わらずテーブルの上の軟骨揚げと焼きとんは冷めたまま
ビーツジョッキだけが何往復かする『でさ・・・』オヤヂ二人が
少年顔で酌み交わすジョッキは最早この居酒屋の名物に近い
『今日はまだ9時か・・・』次の約束をして早いお開きとした
寒さを忘れた3月末の宵の口 曇り始めた赤羽の空
例によって軽い握手でバラバラのホームへ別れた
《まだ旅の途中》と我がままな《俺の声》の夢は
始まったばかりなんだと思うと 元気が出てくる夜である
