「今日は何時に帰るオサム」毎日の事だが今日も電話が来る
「七時には愛してるよ」修は何時もこの電話の後に後悔する
きっと今日もミートボールと野菜をコンソメで煮た様な夕食が並び
妻に嫌われぬよう十字を切ってからナイフとフォークを使うのだ


日常の生活では何の支障も無いこのブロンド女性との結婚
究極の異文化は食生活だと8年一緒に暮らして解かった
東京中を見渡せる42階にあるガラス張り28畳のリビングルーム
妻が帰国した時だけ独り玉子納豆ご飯を堪能できる修だ


「来週は出張に行くけど君も来るかい 浜松と神戸だよ」
「神戸は素敵な所ねでも浜松は何処にあるかも知らない」
「浜松と云えば浜名湖で鰻が旨いぞ」「Oh鰻かば焼きね」
「浜松は一泊神戸で二泊どう」「勿論行くわ楽しみフフフ」


「神戸に行ったら南京町に行こうチャイニーズフードだ旨いよ」
「横浜以外にもあるのね中華街が」「そうよく知ってるね」
「友達が言って居たわ近くに面白い牧師さんがいてね
そう私と同じリバプール出身なんだって行ってもいい」


「勿論だとも僕にも紹介してくれよ」修はいつも思う
なぜ彼女達はこんなにも牧師さんに会いたがるのだろう
自分は別に京都に行っても坊さんに会う事はしないし
何故無駄な事に時間を割くのかが理解できないでいる


大量の温野菜を食べ終わり二人の習慣はテニスである
テニスと云っても室内で大型テレビ画面に向かい短い棒を振る
「私このWiiとインターネットがあれば独りで寂しくなんて無いわ」
すっかり日本の技術の虜になっている妻を可愛らしい思う


少し汗を流す程度にはしゃいだ後シャワーを浴びる妻の裸体
その間にワインを開けてベッドルームから月に乾杯などして見る
近頃の建築家は何を考えているのかベットルームのシャワー室は
ガラス張りで何処かのラブホテルの様な趣向だが妻は気に入っている


覗く月が赤くなりそうな言葉の中で何度もキスをして
シルエットは映画の一場面の様に月光の中で絡み合っていく
黒いシーツのウォーターベットは軋む音など立てることなく
二人を海の様に包み込み何時までも吐息が混ざり合う