これは自身が小学五年生の頃だったと思う。
自転車で行ける距離の所に、遊泳できる川原(今は整地された面影は全く無くなり、草ボーボーで入ることすらできない)へ当時野球部に所属していた数名と夏休みに遊びに行くのが日課だった。
いつもは川で泳いだり、魚を獲ったり、頭まですっぽり浸かれるポイントに飛び込んだりして遊んでいたのだけれど、ある日ヘビが出た。
大体1メートル程のそのヘビは、とても異彩を放っていた。
シマヘビの見た目ながら、体はレモンの様に鮮やかな黄色で、縞模様の所はこれまたオレンジの様に鮮やかな橙色だったのだ。
「生息域、本州全域」と図鑑で説明書きされている生き物は大概目にする機会のあるクソ田舎なので、みんなその色鮮やかなヘビに興味深々。
自身も「これは新種?」「もしかして脱皮したてだからこんな色してるのか?」と適度な距離を保ちながらまじまじと見ていた。
だがそこはスポーツ少年の集まり、わんぱく極まりない。
みんなで石を集めて閉じ込めよう!と石を集めてヘビを囲い始めた。
囲ってからまた石を集めて積み上げ始め、とうとう閉じ込めてしまった。
これからどうする?となった時、事態は急変した。
モゾモゾと石を掻い潜りながら出てきたヘビは、鮮やかな色はそのままに、シマヘビからマムシに変身していた。
ここら辺では、「スッとした頭のヘビは毒を持たないが、三角頭のヘビは毒を持っているから近づくな」と言われている。
調べてくれたらお解りになるだろうが、シマヘビはスッとした頭、マムシは三角頭だ。
それに加え、縞模様もマムシ特有のクモの巣状の模様に変わっていた。
「マムシになった!」
「みんな逃げろ!」
近づいて様子を見ていたわんぱく小僧達でも、毒ヘビとなれば流石に尻込みして距離をとる。
そいつは川を泳ぎ、中央にポツンと茂っていたススキの中に隠れてしまった。
これではいつ出てくるかもわからないし、川に入って泳ぐなんて危険だ。
その日はまだ日が高かったが、渋々解散となった。
帰ってきてから、家族に話しても所詮子どもと言う事で、生返事しか返ってこない。
次の日から生きもの図鑑を調べたり、2学期が始まったら図書室で図鑑を虱潰しに読みまくったけれど、そんなヘビはどの図鑑にも掲載されてなかった。
あのヘビは何だったのだろう?
威嚇することはあっても、体そのものが別の種になるなんてありえない。頭なんて骨格からして違うのだから。
思い立って書いたもんだから、現代のグー○ル先生でまだ調べてなかった…。
とにかく、少年時代の唯一の不思議な出来事。
少年の夏は今では感じることのできない輝きを放っていたとしみじみ思う。
もしそのヘビを知っている方がいれば御一報ください。
ではでは。