入院前
上司、仕事仲間への報告。
上司へは勿論、報告する義務がある。
しかし男性なだけあって、話したくなかった。
気遣ってくれた言葉であろう言葉も、
とんでもない言葉で大泣きした事もあった。
大学病院での検査が決まった時点で
上司への報告はしていたが、
手術が決定するまでの期間が余りにも長く、
『今、どんな状態なの?』
と聞かれたり、検査の事を聞かれたり
婦人科系なだけにセクハラ発言されたり。
あらゆる言葉で痛めつけられ、
上司への不信感は日に日に増していた。
姿が見えると逃げていた。
上司と部下なんて、余程の絆がなければ
余計な言葉は要らない。
距離感が大事。
『無理するなよ。』
『困った事があれば相談するんだぞ。』
‥それだけで充分だ。
それを土足で人の心に入って来て辛かった。
そんな人達が上司の会社、未来は暗いな。
そんな中、いつも一緒の同僚達は
自分達から私の病気の事を全く聞かなかった。
具合が悪くて椅子に座って作業していても
普通の話をしてくる。
通院で休みを伝えると、快諾してくれる。
大変な仕事は振らない。手伝ってくれる。
それから
入院前に全員で食事に連れて行ってくれた。
日程も食べたい物も、全部私が決めてOK。
甘えて好きな物、ご馳走して貰った。
男女混ざってのメンバー。
交替制の職場で、一緒に仕事していたのは
私を混ぜて7名。全員年下。
辛かった時期、
職場でこの子達に、いつもいつも救われていた。
入院前の最後の仕事の帰り。
別れ際、しばしの別れを惜しんで話していると
班の女の子からハイタッチ!と手を出され
メンバー全員の前で大号泣しちゃう程に
心を許している。
1番年上なのに、泣いちゃってごめんね。
辛い時、本当に救われてたんだよ。
心からありがとう。
ある時、班のメンバーに仕事の負荷を心配され
『大丈夫だよ〜』
って言ったら
『〇〇さんの事があるから、大丈夫は信じない。』
と言われる。
〇〇さんとは、同じ職場で2年前に亡くなった方。
末期の癌で、在職中に亡くなった。
まだ49歳だった。
私が今の職場に異動して来て1年半過ぎた頃だった。
一度入院して復帰して、少しずつ痩せてきたけれど
毎日、人一倍動いて仕事をしていた。
『大丈夫ですか?無理しないで‥』
と声をかけていたが、いつも笑顔で
『大丈夫だよ〜』
という答えが返って来た。
今思うと、大丈夫?って聞かれると
大丈夫としか答えられないんだよね。
当事者にならないと、分からない事。
今までもこれからも、後悔は消えないと思う。
私に対して大丈夫は信じないと言った人は、
その〇〇さんと同じ班で仕事をしていた。
長く同じ職場で働いていたから、
私なんかよりショックが大きかったと思う。
だって〇〇さんは、暫く休むと会社に申請して
2日後に亡くなってしまったから‥。
直前までバリバリ働いていた方が‥。
誰もそこまで病気が進行していたと思わなかった。
本人も皆に言っていなかった。
相当、体は辛かったと思う。
凄く凄く、強い方だったんだと思う。
だから
『大丈夫は信じない』
‥その言葉を聞いた時、
今回私が入院手術となった時、
〇〇さんに対しての後悔分の優しさを
私にくれたんだと思った。
確かに私、癌だしね。
婦人科系だから
どこの、何の病気か知らないでいるけれど
話の流れでは、私が癌だとは気付いてる。
仕事復帰した今も、優しすぎる位優しい。
彼の彼女?位に守って貰ってる。
しかも私、術前術後ダイエットして
結構(かなり?)痩せた。
私的にはダイエットする良いきっかけだけど、
周りからしたら心配しちゃうよね。
その子も私が痩せたの気付いて
『大丈夫』って言うから『信じない』んだろうね。
先週の金曜、
ある人に私がかなり痩せたよねって
みんなが噂してたと聞いた。
私は体重減と洋服のブカブカ感で、
1人で心の中で痩せた事を喜んでいた。
周りからは2人にしか言って貰えず、
もっと痩せないと分からない位しか
痩せてないんだと思っていた。
が、
みんな痩せたと思っていてくれたみたいだけど、
病気のせいで痩せた可能性も否めなく、
私に気を使って言わなかっただけらしい。
心配かけちゃった‥。
今回痩せたと言ってくれた子には
『これは努力!』
と伝えた。
もっとダイエット続けるのに、
更にダイエット成功して痩せたら心配させちゃう。
痩せたら痩せたって言って貰いたいしね。
痩せたと言っても、
痩せ過ぎと思われるまでの道のりは遠い‥。
上司には恵まれないけど、
同僚達には恵まれ過ぎている。
打ち明けてない人達も、
退院後、余計な言葉をかけずに受け入れてくれた。
言葉って、本当に難しい。
日常会話でも難しいのに
相手に重い悩みがあれば尚更。
感覚が違うように、受け取り方も違う。
自分が経験しないと、
本当、何も分からなかったね。
同僚達の様に、私も優しくなりたい。