ひっさしですねぇ、このカテのエントリー。
でも、実は観てない訳じゃないんです。
観てるんですよ、何作か。
3月以降、月1くらいのペースで。
でもでも、引っかかるものがなくって、
結局うとうと・・・船をこいでしまってます
笑。
去年は引っかからなくても、
その引っかからない理由を、感想として残してましたが、
今年はうとうとしすぎて、
感想を残せないほどのときも、時にはありました笑。
さて、久々に「おもしろい!」と思える作品に出会いました。
パルコプロデュース『SISTERS』
作・演出:長塚圭史
出 演:松たか子 鈴木 杏 田中哲司
中村まこと 梅沢昌代 吉田鋼太郎
今まで「何で長塚圭史はこんなに評価されてるのか?」と
ずっと理解できなかった。
って言うか、観た作品がたまたま良くなかったのか?(コチラ )
でも、今作を観て、彼が評価されている理由がわかった。
すごい作品だった。
英国留学前の旅立ちを飾るに相応しい、素晴らしい作品!
以下、ネタバレです。
地方公演、楽しみにしていらっしゃる方は、ご覧にならないように。。。
ストーリーは、
簡単に言ってしまえば、近親相姦のお話し。
寂びれたホテルで、経営者の妻が自殺した後、
経営救済のために訪れた、経営者のいとこに当たる新婚夫婦。
やや情緒不安定な感じをうかがわせる新妻(松)。
そのホテルには、
児童文学の作家(吉田)である経営者の兄と、その娘(鈴木)が住み着いてる。
この親子が近親相姦であることにより、
妻の過去が次第に明らかになり・・・。
ストーリーに、救いがありません。
仲良くなった妹のような存在の娘が、
近親相姦であることがわかり、
自分の過去と重ね合わせてしまう妻は、精神的に崩壊していく。
追い詰められた作家と娘は、自殺してしまう。
結局誰も救われない、
重くのしかかって来るストーリーでした。
(ん?救われないと思っているのは、ワタシだけで
彼らはあれで、救われたのか?)
でも、舞台美術、演出、役者、
これらの素晴らしさに、とにかく感服しました。
展開にワクワクしました。
こんなにワクワクしながら、舞台を見たのは、初めてかも。
ステージには、ホテルの一室。
その一室が、人が入れ替わる事により、間取りが同じである別の部屋になったり、
2部屋がシンクロしたり、
ベッドの並びに意味を持たせたり、
床から壁まで亀裂が入っていたり、
バスルールの壁が透けたり、
部屋に飾られた絵画の色、
松たか子と鈴木杏の衣装の対照的な色だったり、
曼珠沙華だったり、
ステージを覆いつく水、水の音、
光が水に反射して壁に映ったり、
役者が水にまみれたり。
それらがすべて、ストーリーの伏線であり、
人物の感情を表したり、ストーリーをさらに強固にしたり。
イヤー、よくできた構成、いや、でき過ぎた構成。
でも、これこそ1シュチュエーションの舞台ならではのおもしろさなのでは?
そして、役者。
イヤー、すごいです。
二人ずつでストーリーが進んでいくシーンがほとんどなのですが、
松たか子VS.田中哲司
松たか子VS.鈴木杏
鈴木杏VS.吉田鋼太郎
松たか子VS.吉田鋼太郎
長台詞、台詞の掛け合い、感情の表し方。
どれをとっても、誰を見ても隙がなく、
それぞれの役者さんの力量を思う存分楽しんだ。
田中哲司の、妻の精神的闇をどうにかしようと思いつつも、どうにもできないもどかしさ。
松たか子の、徐々に気が触れて、崩壊していくさま。
自分が父親に選ばれなかった事を悟った時の失望感。
鈴木杏の、妊娠した事を打ち明けられない焦燥感や、罪悪感や、
父親から逃げられないか弱さを隠す毅然とした態度。
吉田鋼太郎の父性を感じさせつつも、人間としての弱さ、卑怯さ。
中村まこと 梅沢昌代も役を際立たせる演技でした。
鈴木杏、鋼太郎さんと渡り合ってましたねぇ。
負けてない。
って言うか、勝ってる。
カーテンコールの時の二人。
先に相手に触れたのは、杏ちゃんでした。
鋼太郎さんの背中をポンポンと。
あの年齢で、鋼太郎さんを相手に、あの演技をして、あの余裕。
素晴らしい大人の女優さんになったんだなぁと思った。
にしても、松たか子。
すごいです。
この女優さんは、タダモノじゃないですね。
今まで、数作彼女が出ている作品を見てきましたが、
今までの作品なんて、比較にならないほどでした。
こういう作品を演じる事は、きっととても大変な事だと思う。
でも、ステージの上にいたのは、松たか子ではなく、馨だった。
ストーリーには、何の救いもないけど、
もう1回観て、伏線の数々・役者の素晴らしい演技を楽しみたい。
そう思わせてくれる作品でした。
ちなみに、
経営者の妻、あれ、自殺じゃないですよね?
と、ワタシはストーリーを読みました笑。