もう4月も後半にさしかかろうとしているのに、

観劇日記3月ver.


◆『さらば、わが愛 覇王別姫』@シアターコクーン
原作:李碧華
脚本:岸田理生
演出:蜷川幸雄
音楽:宮川彬良
出演:東山紀之 木村佳乃 遠藤憲一 沢竜二 西岡德馬


映画版『さらば、わが愛 覇王別姫』に衝撃を受けたのは、いつの事だったかな?

と思い出さなければならないくらい、もう何年も前。

大スキな作品なんですが、

あまりの衝撃で、そうそう簡単には見られない作品でもある。


でも、レスリーチャンの演技が素晴らしく、

彼が亡くなってしまったとき、

「レスリーの人生もあの作品のようにせつなかったのだろうなぁ」と

思いをはせたものでした。


ということで、ワタシのとっては、

結構思い入れのある作品の舞台化。

「ヒガシってどうなのよ?」と。


結論:うーん、足りない。


少年時代や兄との絆の深さが、あまり描かれずに、

京劇を丁寧に演ずる事と、

ただ時代に翻弄される姿を描いただけ、

という感じが否めない。

もっともっと深い感情が入り乱れないと、

映画を見てない人には、ストーリーがつかみきれないと思う。



ヒガシは、細部に至るまで神経を使ってるんだなぁと感じた。

が、声がねぇ~。


遠藤さんも、役柄は合ってるんだけど、歌がねぇ~。

結局1曲×2回しか歌わなかったけど。


木村佳乃さんは最近気になる女優さん。

歌も演技も良かったのではないでしょうか?


締め役西岡徳馬さん。

巧い。ヒガシを見つめる視線がねちっこい笑。

金と権力ででヒガシをモノにしようとするのだが、

ヒガシとのベッドシーンでさえも、

違和感なく、しっかり説得力を持たせられる。



京劇の場面がやっとうまく行くようになっただけの段階で

幕が開いてしまった感があった。

もっと深い心理描写が見たかったよー。



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◆『身毒丸』@彩の国芸術劇場


作:寺山修司/岸田理生
演出:蜷川幸雄
照明:吉井澄雄
出演:藤原竜也 白石加代子
    品川徹 蘭妖子 石井愃一 中曽根康太 渡部駿太 日野利彦 マメ山田 ・・・



もう唸るしかない。

竜也と白石さんの演技、

二人が蜷川さんと創り上げる、誰も寄せ付けない二人だけの世界、

蜷川さんと白石さんに形作られただろう「舞台俳優 藤原竜也」に。


蜷川作品を見始めたのは、

前回の『身毒丸 ファイナル』がスタートでした。

でも、ワタシは『身毒丸』の世界観があまり得意ではない。

が、その作品に唸ってしまう。


前回は、作品がどうこう、演技がどうこうなんてレベルじゃなくて、

ストーリーの展開にしがみついてくのが精一杯だった。

その後、何十本もの舞台作品を見たけど、

『身毒丸』の衝撃や独特の世界観を超える作品には出会ってない気がする。

ワタシの理解を超えたところに、寺山修司の世界が存在するからだ。



さて、藤原竜也です。

カーテンコールを見て、

再演をして良かったのではないか?と思った。



昔の竜也は、生意気だった。

オーディションの時の事を振り返って、

「自分以外に選ばれるヤツはいないって思ってましたよ」的な

高飛車な事を平気で言ってのけていた。


でもそれは、そう思い込んで、

自分が同年代の役者では明らかに飛びぬけた存在であると確信しなければ、

やっていけない世界に置かれていたからではないのか?

初演やファイナルの時は、きっとがんじがらめだったと思う。

蜷川さんに徹底的に叩き込まれたんだと思う。


『ファイナル』で終わってしまったら、

竜也は、きっと『身毒丸』を一生背負っていく事になった気がする。

いや、今も背負ってる事には変わりないけど、

なんだか今回の再演は、

『身毒丸』から一歩踏み出した藤原竜也を見た気がした。


それは、『ファイナル』後、

他の演出家作品や、大御所との共演など様々な経験を経て、

彼が成長していった証しのような気がした。



カーテンコールの時の竜也の表情は、

今まで見たどのカーテンコールの時よりも、

晴れやかで満足げで充足感に満ちた表情だった。


そんな表情を見て、

身毒と撫子が、常人が足を踏み入れる事のない

孤独で異様な闇の世界に入っていったように、

「舞台俳優 藤原竜也」も、もうこっちの世界には決して戻れないのだと思い、

ちょっと切なくなった。

(ワタシが切なくなってどうする笑)


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ってことで、3月は蜷川作品2本。


蜷川さん、還暦を越えてもなお、

およそ月1本のペースで作品を発表。


観に行くほうは、楽な気がしつつも、

重厚な作品が続くと、精神的に参ります笑。