『ケンタとthreadツアーと京都大作戦のその日まで』 | 10-FEET TAKUMAオフィシャルブログ Powered by Ameba

『ケンタとthreadツアーと京都大作戦のその日まで』

『ケンタとthreadツアーと京都大作戦のその日まで』


今年の二月の頭、ツアー中に愛犬ケンタの心臓に水が溜まって倒れて、意識を失って深刻な状態で動物病院に運ばれました。ツアー先にそう連絡があって、居ても立っても居られなかったが、その後、薬を投与して少し体調が戻って来たと報告があった。ホッとしてツアーに専念した。その直後の移動日、ツアーの合間、京都に戻って実家にすっ飛んで帰った。いつもより少し元気が無いケンタだがいつも通り

「やれやれ、お前はホンマにいつもベタベタしてくるよな。まぁ今日は久しぶりやしちょっとだけええわ。」

という感じで僕に抱かれ、僕は確かめる様にケンタの顔をジッと見るけどケンタはこっちを見ると「うん、タクマやなぁ。」と二、三秒見ると目を逸らします。

ウチに来た時からずっとですが、ケンタはどんなに仲良しにしていても顔は長い事見ません。二、三秒ジッと見た後、あからさまにそっぽを向く犬なんです。笑

恥ずかしいのか面倒臭いのか両方か。我が家のケンタのオモシロい一面です。

心配やったさかいずっと抱いてたかったけどしばらくすると振りほどいて隣の部屋に行ってしまった。「おらぁ!長い!」といつも通り振りほどいて飛び降りる姿を見て安心しました♪ちなみに振りほどいてどっかに行く途中に必ず一回振り向いてこっちを見ます。僕はケンタ先輩とひとしきり会話してツアーに戻りました。


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『不思議な夢』


ツアーに戻った三日後に不思議な夢を観ました。ソフトバンクに出て来る様な白の北海道犬が、僕が寝てる横でおすわりしてベロ出して遠くをずっと観てる。

僕は何故かその見知らぬ犬がずっと前から一緒に暮らしてた様に凄い好きなんです。僕は横で座ってる見知らぬその犬の肩を抱いて「なぁ。なぁ。おーい。」顔を見てもちょっと僕を見ては、またすぐ遠くを見ます。僕はまた呼んで顔を見ますがその繰り返しでした。僕はそのうちその犬がどこかに行ってしまいそうな気持ちになって凄く不安な気持ちになりましたが、犬はずっとずっと一緒に居てくれました。


夢から覚めたらなんか凄い淋しい気持ちになりました。


その二日後の夜、ツアー先に姉が電話して来て泣きながら「あんなぁ、、ケンタが天国行かはったわ、、私も辛いけどアンタはあんな可愛がってたのに看取れへんかって残念やろうけどケンタいっつも側に居るやろうさかいにしっかりやらなアカンで。。」と言いました。

あの白い犬が頭をよぎりました。

そこから先は数日頭が真っ白で毎晩枯れるまで泣いた。

ケンタは俺の母ちゃんに抱かれながら息を引き取ったそうです。

姉は「最後優しい顔しとったで。」と。

「あのコはなんかいつもトボけててほんまに人間みたいなコやったなぁ。」

と続けた後、姉はまた堪える様に黙りました。僕は返答したら溢れて崩れそうで、何も答えられんかったです。姉ちゃんはきっと電話の切り際も泣いてたけど「そやそや♪」と澄ました声で「京都大作戦おかんと一緒に行くからアンタちゃんとキメや!ほなな!元気出しや!」と言って切りました。

僕がその先日帰ったその数日前、その時ケンタは意識を失って瀕死の状態で病院に運ばれた。もうダメかもと獣医さんには言われてたみたいなんですが「あと一回だけタクマに会っといたらなアカンなぁ。」と病院から戻って来てくれたんやと思う様にしてます。

別れ際には一緒に居てやれへんかったけど、天国に行く直前に逢えた。深刻やとは聞いてたさかいに少し前に帰った時、ケンタを抱いて「ケンタ。ケンタ。」て何回も確認し合う様に顔を見合わせた。そんな時も彼は二、三秒ですぐ横を向いてしまいます。


ブレないケンタ先輩です。


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好きです。



『ケンタ先輩』


どんな事があっても怒らない温厚さと、なかなか媚びない感じと、でもたまに「やれやれ」と横に来てくれたり、そしてそのトボケっぷりが本当に人間っぽくて面白いヤツでした。


16年生きました。


ウチに来た時からずっとお互い大好きでした。(多分^^)


僕が精神的に心底参ってる時もケンタはブレずにいつも通りでした。凹んでる僕を特別扱いする事無く素っ気なかったり、かと思えば寝ている間にひっついてきて、起きると横で一緒に寝てたり。

とにかくどんな時もいつも通りの関係を崩さないヤツでした。

僕が ''ちびまる子ちゃん''みたいになって頭抱えてる時も、スリッパくわえて来て「おいお前、、、これで遊んだるわ。」とゆっくりシッポを振ってこっち来て。



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そのまま僕が落ち込んでると「ポトッ」とスリッパを落として「あれ?ひょっとして落ち込んでる?」となり。




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そこからツンデレが始まります。 笑


僕が落ち込んでる時に限って大抵ツンデレのツンです。


どん底に居る時程素っ気無いのです。 笑


でもそんな時、不思議とアイツなりの優しさみたいなんを感じます。



僕はそんな彼に「映画やドラマの名犬はこういう時は顔をペロんちょしてきたり、心配そうにこっちを見て可愛く首かしげたりするぞ。」と、ほぼ独り言で話しかけます。するとこっちも見ずに「わふっ。」と面倒臭そうに返事をします。

そして語りかけているウチに僕の元気はほんの少し戻っていただろうと思います。

そのパターンで何度も「せやけどやるしか無いしなぁ」という予備バッテリーを引き出して貰ってたんやなぁと、今は思ってます。

親友と同じですね。

落ち込んでる時程、何気ない接し方をしてきて、いつもの自分に戻るまで並走してくれよる。

「野暮で余計な言葉はかけないが、取り敢えず元気出るまで一緒に居てやるぞ」ってタイプの仲間が誰しも一人は居ると思うんやけど『無言実行タイプ』は人知れず深い優しさを持ってて、有言実行タイプより男前な時があるんだ、ってのはケンタから学んだのかもしれない。優しくするだけが優しさじゃ無いという事を。




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『お別れと決心』



昔から「身内が死んでもその日の仕事はやり切らなアカン」そういう風に親にも先輩にも教えられて来ました。どの職業の人もそこはほとんど一緒で、実際僕もそう覚悟してやってる。でも実際にそうなったら、誰しも心のどこかに何かしらの悔いは残るでしょう。「何故一目見に帰らなかったんだ」と。通夜や葬儀はともかく、その心配が考えられるその時から看取る時までの事を考えたら、最期まで付き添えない人も沢山居ると思います。

看取る事は出来なかったけど、そんな悔いが無い様に、ケンタは一回だけ待っててくれた。

そう思ってます。

ケンタが天国に逝ったその日。

僕は一つ決心しました。

ケンタが天国に逝ってから京都大作戦のその日まで、ケンタが死んでしまった事を誰にも言わない、僕はライヴで絶対に泣かない、全てのライヴをこれまで以上に笑顔で、キレッキレのギャグもかましまくってやりきる、京都大作戦のその日まで、これはケンタが今まで僕にしてきてくれた事の様に思うから。

誰かの為に、自分の為に、出来る限りどんな時も自分らしく。

ケンタとその生涯に応える気持ちやった。

ケンタが天国に行ってから、移動日もメシの時も、何度も何度も泣いた。

家に独りで居る時は不意に思い出す度泣いてた。何度も何度も。

でも絶対にライヴ中は泣かないと決めてました。

二月からずっと。

目標は京都大作戦までの五ヶ月。

それをケンタへの四十九日の様に思い。

自宅にアイツの写真を置いて、帰る度に水をやって、その日あった事、ツアーの事を報告してました。

ケンタが天国に行った事を誰にも言わなかったのは、上手く説明出来ひんねやけど、天国に逝った事をしばらく僕とケンタだけの事にしたかったんです。大切な大切な時間でした。



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『けんたの気配^^』



京都大作戦の二日間。ずっとケンタを感じていました。

シガードックはケンタの事をただひたすら想って唄ってました。

二日目のアンコールは僕ら三人だけで緊張と不安のSTAY GOLD、何故かずっとケンタを思い出してた。勇気が欲しかったんかなぁ。笑 不思議な勇気が湧いてビッとして演奏を始められました。一瞬泣きそうになったけど、喉元まで込み上がったケンタとの想い出も全部一気に飲み込んで突っ走りました。

そこにKENさんと難波さんのあの粋な優しさ、大事件が起きた。

子供の丸いビニールプールの端っこを足で踏んで水をザァアアアアっと出す感じで全部出ました。

そしてあの瞬間は一生の宝物になったんです。

ケンタにもありがとうやったんです。


『あなただけ』


僕らには家族、友達、恋人、仕事、遊び、お酒、いっぱいあるけどあいつらはアンタだけなんです。アンタを愛してアンタと遊ぶ事が仕事なんです。

みんなも後悔しない様に自分の家の犬いっぱい遊んだげや♪

ある本でも似た様な事を書いてましたが、犬は老衰で、足腰は悪くなって、口臭も強くなっちゃって、目は白内障になって見えなくなって、毛は抜けて、お漏らしして、みんなに迷惑をかけますが、それはきっとみんなと上手くお別れしようとしているのかも知れません。ちょっと迷惑をかけて、大往生して天国に行けば「アイツはよく頑張りよったなぁ。大往生やなぁ。」と、悲しさだけでなく、感心もして見送ってもらえる。大好きな飼い主のあなた達を悲しませまいと別れ際の犬なりの頑張りかも知れませんね^^

家族や恋人や子供に対してみんなそれぐらいの深い愛を持っていると思いますが、生涯に於いて生きる目的があなたとの楽しい日々そのものである犬や猫達は、その一生をかけて愛し抜いてくれてるんやと思います。その愛の果ての、最後の一端の形が別れ際であり、そこに生まれる悲しみはきっといつか誰かに対する優しさに形をえたり、悔いを残さない生き方を教えてくれたりすると思います。

きっと。





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留守中ケンタにバッキバキに噛み砕かれたDVD、リモコン、サングラス、噛みちぎられた数々のお気に入りの衣類達。リアルタイムでは怒ってめっちゃケンカしたけど、今では思いっきり歯形がついたアイテムを目にすると家族は皆笑っちゃいます 笑 「この家にはケンタがずっと居たんやなぁ 笑」と♪ 笑える遺品って感じです。



『犬』

【詩=ハッピードッグ三田村】

時は流れる。君はそっと横に来る。嘘もホントも特別扱いせずに。

君は「ふーん」と澄んだ嫌味の無い相槌。また少し先を眺める。
口をモゴモゴ。打算の無い無邪気さは切ない程透明で勝手に僕を救う。

君がアクビをするとワンテンポ遅れて僕が代わりに「ふわぁ~。。」と言ってやる。

君はたまにイビキをかいて寝ながら大きなオナラをする。君は起きもしない。

そんな君を見て僕はケタケタ笑う。

どっちがイビキでどっちがオナラ?

僕と君のよくある話。

散歩の後、君はまた丸くなって自分の腕にアゴを乗せて眠る。
腕にアゴを乗せて君を想う。なんでもない夜に。

君は僕に幸せをくれた。
君は僕と家族になって幸せだった?
僕も自信があるんだけどどうだい?

世界に一人(匹)の君が
世界に一人の僕の所へ来てくれて
僕は本当に幸せだったんだ。

僕が君を想う時、きっと君が側に居る時。
僕が不意に君を思い出す時。
君が天国から僕を想ってくれている時。
ここに居なくてもずっと好きです。


君の寝オナラが恋しい。




''あとがき''

自宅でも外でも。
たまに、ふとした時に、自分の足元にケンタの気配を感じる時があります。
僕は足元にケンタが居ると思ってついつい見ます。
誰かに見られたらただのあぶない人です。 笑
ケンタを不意に思い出す時、近くで守ってくれてる時、逢いに来てくれた時やと思ってて。
もしくはその逆で、ケンタが天国から僕を想ってくれた時、僕はケンタを思い出すんやと。
そんな時僕は嬉しくなります。なんか不思議な勇気も湧いてくるし。

いつまでもずっと一緒ですよ♪君ん家に居たコロもペスもゴンも♪

最後に。

重複しますが、僕達には仕事があって、お酒や趣味があって、友達が居て、言葉もあります。

犬はあなたと遊ぶ為に生きてる様に思うんです。

今犬を飼ってる人は、後悔の無い様にいっぱい遊んであげて下さいね♪




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ほなまた^^