先日、マッサージやストレッチをしない理由を書きましたが同じような内容で実例を一つ。
僕がある整骨院グループに所属していた時のことです。
異動があり、院長を引き継ぐことになりました。
引き継ぎと言うことで最初の1週間は大人しく治療を見学させて頂いていました。
先生の施術中、大半の患者さんから
「う~!」
「痛い~!」
バタバタバタバタ…(痛すぎて声も出ず、足をバタバタさせておられました。)
中には施術後に涙を拭いている方もいらっしゃいました。
いや、その先生、マッサージはめちゃくちゃ上手です。患者さんも痛いポイントを的確に押されるので喜んでます。
性格も羨ましいくらい明るくて元気で、患者さんからも人気がありました。
ただ、明らかに強過ぎでした。長い目で見たら悪化させてしまうパターンです。マッサージをしてはいけない身体の人にマッサージをしてしまうと悪化します。
難儀な事にマッサージが上手であればあるほど悪化させてしまいます。この先生、上手だし力がありました。
そして僕に院長が変わり、最初は前の先生を否定しないよう、めっちゃ気を使いながらうまい具合に強刺激よりもいい治療がありますよ~と一生懸命説明しました。
ただ、あんまり急な方向転換は患者さんが困惑するだろうと思ったのと、やはりオーナーの手前、売上げを下げれないという所から一番患者さんがわかりやすいマッサージ、ストレッチを使わざるを得ない状態でした。
不本意ながら僕にしては強刺激をやりながら徐々に刺激を弱める作戦の実行中でした。
前院長の時から週6回来ていた腰のヘルニアを持っている患者さん、
僕の説明を熱心に聞いてくださって
患者さん「先生、実はこの数ヵ月、どんどん腰が悪くなっていくねん。」
僕の心の声「ほら来た!」
僕「その数ヵ月間、何か始めたり、止めたりしました?」
患者さん「ん~…特に変わりはない。強いて言ったら今先生の説明を聞いてここに来だしてからのような気がする。最初はちょっと痛いくらいでここに来て、『毎日来い』って言われたから毎日来てんねんけど、どんどん悪くなっていくねん。最近では…」
かなり辛そうでした。
早く良くなってほしかったので
僕「雇われ院長としては失格かもしれないけど、ハッキリ言いますね。○○さんが、僕の家族ならまずはこんな強いマッサージ毎日受けに来んな。って言います。」
そして
年齢的にも状況的にも内科疾患の疑いがゼロではなかったのでそれを説明し病院で検査をすることをオススメしました。(まぁ、大丈夫だろうと思いながら念のため)
「検査の結果が全く問題なく、僕を信じてくれるなら前の先生の治療を忘れて僕の理論で、僕の施術を受けてください。」とお願いしました。
その方はかなり強刺激に慣れておられたので最初は物足らなさそうでしたが、どんどん身体が変わっていくのを実感してくださり、1ヶ月もしないウチに日常生活では全く問題なくなり、気がつけばヘルニアの症状は消えました。
この患者さんは関節が緩んでいました。
関節が緩むと不安定になり、身体が壊れてしまいます。その不安定さを補うため、身体を守るために筋肉が緊張し、痛みが出ていたのです。
それを無理矢理緩めたらもっと不安定になり、守るためにもっと硬くなり…
以前にも書いた悪循環ですね。
僕はまず、マッサージ・ストレッチを禁止し、不安定さをこれ以上出さないようにしました。そして施術によって関節を安定させました。
結果、改善へと導かれました。
ただ、オーナーからは
「この○○さん、ずっと毎日来てたのにどんどん回数減ってここのところ全然来てないやん。どうなってんねん。」
って怒られました(ToT)
その後、「先生の治療なら年寄りでも大丈夫やから」とその患者さんがお母様を紹介して下さり、施術させていただくことになりました。
その時、「あれからホンマ調子ええねん♪ちょっと無理してもいけるで!ほらっ!」
と嬉しそうに身体を動かされているのを見て嬉しかったです。
昔の苦い経験が生かされ、患者さんにも喜んでもらって次の患者さんを紹介して頂ける。
いや~、素晴らしい!
いやさか鍼灸整骨院
大畑
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