https://news.yahoo.co.jp/articles/212930e2e9bcb6f225754b4b5bec72d4df8d786a
開会式の時間に合わせた午後8時にイベントはスタートした。聖火を手にした池江はコロナ禍においてスポーツを行うことへの反対意見があることを踏まえた上で、「逆境から這い上がっていく時には、どうしても、希望の力が必要だということです」と思いを語った。その上で「1年後の今日、この場所で希望の炎が輝いていて欲しいと思います」と述べた。メッセージを終えた後、涙をぬぐっていた。 以下、その全文。
本当なら明日の今頃、この国立競技場ではTOKYO2020の開会式が華やかに行われているはずでした。私もこの大会に出るのが夢でした。
オリンピックやパラリンピックはアスリートにとって、特別なものです。その大きな目標が目の前から突然消えてしまったことは、アスリート達にとって、言葉にできないほどの喪失感だったと思います。 私も、白血病という大きな病気をしたから、よく分かります。
思っていた未来が、一夜にして別世界のように変わる。それは、とてもきつい経験でした。 そんな中でも、救いになったのはお医者さん、看護師さんなど、たくさんの医療従事者の方に、支えていただいたことです。 身近で見ていていかに大変なお仕事をされているのか、実感しました。 しかも今は、コロナという新たな敵とも戦っている。 本当に感謝しかありません。ありがとうございます。
2020年という、特別な年を経験したことで、スポーツが、決してアスリートだけで出来るものではない、ということを学びました。 さまざまな人の支えの上に、スポーツは存在する。本当に、そう思います。 今から1年後。オリンピックやパラリンピックができる世界になっていたら、どんなに素敵だろうと思います。 今は、一喜一憂することも多い毎日ですが、一日でも早く、平和な日常が戻ってきてほしいと、心から願っています。
スポーツは、人に勇気や、絆をくれるものだと思います。 私も闘病中、仲間のアスリートの頑張りにたくさんの力をもらいました。今だって、そうです。 練習でみんなに追いつけない。悔しい。そういう思いも含めて、前に進む力になっています。
TOKYO2020 今日、ここから始まる1年を単なる1年の延期ではなく、「プラス1」と考える。 それはとても、未来志向で前向きな考え方だと思いました。
もちろん、世の中がこんな大変な時期に、スポーツの話をすること自体、否定的な声があることもよく分かります。
ただ、一方で思うのは、逆境から這い上がっていく時には、どうしても、希望の力が必要だということです。 希望が、遠くに輝いているからこそ、どんなにつらくても、前を向いて頑張れる。
私の場合、もう一度プールに戻りたい。その一心でつらい治療を乗り越えることができました。
世界中のアスリートと、そのアスリートから勇気をもらっているすべての人のために。1年後の今日、この場所で希望の炎が輝いていて欲しいと思います。 競泳選手 池江璃花子 本日は、ありがとうございました。
私は池江選手が開会式の旗手もしくは聖火点火走者になることを願っていました。違った形とは言え、池江選手のこの日の姿は胸打つものがあります。当初東京五輪は福島復興五輪のメッセージもありました。しかし今また新たに「コロナ克服五輪」の意味も持っています。一年後国立競技場でその象徴ともいえる池江選手が今手にしているランタンの中で燃える聖火を競技場の聖火台に点灯する場面を再度願います。