時間が空いたので目黒を散策した。
ブラタモリで取り上げられたので、跡をたどってみたいと思った。
目黒不動と周辺は門前町らしい賑わいで参道にあるうなぎ屋の匂いが香ばしい。
かつての細川越中守の武家屋敷跡に雅叙園がある。
ホテルの正面に向かう車道の横に「お七の井戸」というのがある。
八百屋お七の思い人の吉三が水垢離(みずごり)をしたという伝承が書いてあった。
数人の中年女性が「お七が飛び込んだのかい?」とか言っていたが
お菊の井戸と勘違いしているらしかった。
お菊の井戸は姫路城にある。
江戸時代に思いを馳せながら中に入っていく。
目的は都の指定有形文化財「百段階段」だ。
そこから外の景色を見たいと思い、寄ってみると、
丁度「百段雛まつり」というのが催されていた。
美しい近代建築のホテルとは全く異なる木造建築では時代が一気にタイムスリップする。
今年は近江、美濃、飛騨のひな壇が飾られていた。
息をのむ美しさと精緻なミニチュアの「調度品」に眼が吸い込まれる。
御所風のひな壇もあれば、源氏枠飾りと呼ばれるひな壇もある。
とにかく微に入り、細に入り、たぶん飾り職人が一生懸命に作った作品がある。
とにかく豪華だ。絢爛だ。美しい。
そしてこのような人形の前で、当時の女の子たちが貝合わせをしたりして遊んでいたんだろうなと思う。
今とは全く異なり、遊具などがほとんどない時代でもその時代で楽しく遊んでいたんだろうなと思い、眼を閉じて想像の中に創り出す姿が微笑ましい。
きっと結構成人になるまで遊んでいたんだろうなと思った。
なぜならそれに見入る女性たちには中高年の人が結構いたからだ。
作品の年代を見ると「安政」と書かれている。
安政と言えば世はペリー来航で日本が開国VS攘夷で沸騰していた時代だが、
意外と庶民はご時世などには興味もなく、
平和な日常を楽しんでいたんだろうな、とも思う。
お雛様を見ていると坂本花織選手によく似た顔を見つけたりして楽しかった。
部屋の装飾を見ると天井や壁、そして柱に見事な彫刻が施されている部屋もあり退屈しない。
どんな時代でもどんな環境でも人は楽しみを見出しているとまたまた感じて後にした。
「百段雛まつり」。とても素晴らしい。