トーナメント戦とリーグ戦、強いのはどっち?―全否定思考の限界 | 世の中とかなんやかんやに対する感想

世の中とかなんやかんやに対する感想

できるだけ俯瞰して世の中のことについて書いてみたいと思いますね。

 

全否定思考に対する考察は興味深いと思うので引き続き突っ込んで書いてみる。


高校野球で名を馳せたある選手が、プロ野球に入るのを決断した理由は「トーナメント戦は一回負けたら終わり。それまで一生懸命練習したのにもかかわらず、体調とか天候とか、そのほかの不確定要因の為に勝敗はいつでも逆になる。これはやはり理不尽だ。本当の強さはリーグ戦でこそわかるはず。」と言っていた。


トーナメントは時にまぐれ勝ちもあるし、短期間では勢いのついたものが勝つわけだが、本当に優勝者が一番強いのかというと、そうではない場合が多い。


 リーグ戦は確かに、勝つこともあるが負けることもある。日本のプロ野球の場合は優勝チームの勝率が7割を超すようなことはない。それでもそれに近ければ最強のチームだと評される。 大学入試の時に教師から「全問正解じゃなくても大学は合格できることを忘れるな。」と言われた。医者ですらも「失敗しない医者」などは存在しない。


 いずれも人生などというのは勝ったり負けたりすることの繰り返しだが、1回負けたとしても全敗になることはないことを示している。


 これは自分が批判的に見る相手であっても、その良いところを認めたとしてもそれでも全敗になるわけでもない。むしろ心の余裕を示すことになる。


 全否定思考は、全肯定思考の裏返しである。常に勝たねばならない。そこに余裕はない。これはまるでトーナメントの試合でいつも勝とうとしているのと似ている。そういう思考でいると自分がやり込められた時の屈辱感は半端ない恨みへと転化される。周囲のみならず本人も疲れる。周囲はそういう人と距離を置くようにして平安になれるが、本人はそういう自分と生涯付き合っていかなければならないので死ぬまで苦労は絶えない。


 人生はリーグ戦で良い。