チトは今朝、久方ぶりに目覚めました。
秋のくせ、
太陽が明るいので目が覚めました。
或いは、
庭のメダカが子供を産んだと耳元でささやいたから、久々に起きる気になりました。
庭の甕では元気なメダカの子たちと、その母親がミジンコをたべていました。
チトはメダカが好きです。
なぜならメダカ係だっただからです。
夏季休暇には教室のメダカを連れて帰る係です。
そのメダカはその次の学期末の顕微鏡の実験で、しっぽの血管を見られる為に飼っていましたから、
半年しか一緒ではなかったのですが、チトはメダカが好きになりました。
チトはウーパールーパーも好きです。
ウーパールーパーは触ると気持ちが悪いです。
同級生のKくんの家にもいました。
でもチトの好きなウーパールーパーは校舎の廊下の奥の陽の甘利射さない、
静かなところの古い机の上の水槽にいるウーパールーパーでした。
死んだふりが得意なやつでした。
そろそろまた、チトは眠くなりました。
おやすみなさい。
次は花梨が黄色くなった頃になるかと思います。
あの花梨はチトに気があるから、やたらと実の様子を報告するものですから。
チトより。
チトは創作だよ。
前略
チトです。
あまり書く機会があるかわかりませんが、一応ブログ始めてみます。
大したことは書かないと思います。
なぜなら大したことはめったに起こらないからです。
大体は起こりうることばっかりだからです。
庭に咲いた蓮の花から見たことのない小さな人の様な形の青白い光が飛び立った明け方も。
夜中に目が覚めると窓の外がロンドンの街並みになっていて、
瞬きした瞬間、見慣れた風景に戻っていたことも。
かりんの実をつけた酒を縁側へ置いておくと、いつものキツネが千鳥足で帰ってゆくことも。
一週間ひかなかったピアノが、急に一人でジムノペディを奏でたことも。
大体は、だれにでも起こりうる、ありふれたことばかりだからです。
それでも、ありふれたことは書き留めなければ忘れてしまうので、
もしかしたらここに書き綴ることになるかもしれません。
そういうことばかりを書く、
日常には全く役に立たず、
日常的なことは全く書かれないだろうブログです。
そんな、いつまであるかわからないブログです。
もしかしたらこの先一切書かないかもわかりません。
チトは、そういう気まぐれな性格です。
もし、そんなチトのブログでも、
お目に留まれば幸い。
では。
チト
註:チトはフィクションです。実在の人物、団体、会社、固有名詞等とは一切関係ありません。
要するに、作者の創作ってこと。