近頃の本は丈夫になった、と感じていた。
以前は、背表紙から、ページごと外れたり、外れなくても緩んで危なっかしい感じになったりした。
図書館の本でも、古い本ほど、取り扱いに注意しなきゃ、と思う時がある。
で。
近頃聞いたMさん(化学物質のエキスパート)の話。
今は製本のりとして、ポリウレタン(PUR)系ホットメルトを背表紙部分に使う本が増えた、
従来のエチレン酢酸ビニル(EVA)系ホットメルトと違い、
接着剤の量が少量で済むので、見開きがいい(ページを開いた状態でコピーしやすい)、
空気中の湿度や紙の水分と反応して、のりが硬化していくので、強度も耐久性も優れている、とのこと。
そして。
化学物質過敏症の人が、このPUR 系ホットメルトで製本した本で、
体の不調を訴える時がある、とのことだった。
つまり。
空気に触れる状態で、反応が進むので、購入者が手にした時点で、
イソシアネートを感知する場合があるらしい。
私も、アマゾンで本を購入した時、新品の本は、本のフィルムを剥がした時、何かしら匂いを感じる。
中古品の時は感じない。
のりの硬化反応が完了する養生時間を経て、出荷しているはずだが、
過敏症の人には、微量の反応でも感知してしまうのだろう。
今は、店頭に並んでいても、フィルムで包装している本もある。(本屋の事情で)
新品の本をフィルムで覆われた状態で購入した場合、
屋外でフィルムを剥いだ方がいいと思う。
しばらくは外に置いた方がいいだろう。
もし、家族がいた場合、本人が平気でも、具合が悪くなる人がいるかもしれない。
DIYによるイソシアネートの曝露で慢性過敏性肺炎と診断されたMさん。
製品化され、店頭に並んでいるから安心、安全と思ってはいけない、と言う。
自分の身は自分で守る。
何事も、一旦距離を置く、というのを習慣化するべきかもしれない。
その間に気付くことがあるかもしれないから。
中学校に上がる時、小学校の恩師から、小ぶりの白い表紙で本のようなノートをもらった。
思ったことを書きなさい、と。
見た目は素敵だけど、背表紙があるので、開きにくく、だから書きにくい。
結局、一文字も書かず、住まいが変わる度に持ち運んだけれど、随分前に、捨ててしまった。
ノートを捨てようと決めて捨てた時、ため息のような解放感があった。
恩師は深い意味で恩師だった。
本棚の隅で、ずっとこちらを見ていた白い背表紙。
私にとって何だったのだろう。
よくわからない。わからないから、何も書けなかったのかもしれない。




