『誰おまえ』
近くに来て言葉が出ず、まじまじと顔を見る私に父が言いました。
何か喋らなきゃと思い、咄嗟に出てきた言葉は
『私のこと、わかりますか?』でした。
『え?(夜のお店の名前)のねぇちゃん?』
『(飲み屋さん)で話した人?』
と、色んなパターンで逆質問してきました。
そりゃ、最後に会ったのが5歳なので、19歳(もうすぐ20歳)になった娘がいきなり会いに来てわからないのも無理はないですよね。
『(私の名前)』と答えると、父はハッとした顔をして、『本当か?』と聞いてきました。
『母の名前は○○です』と伝えたら信じて貰えたようで、父は連れていた女性に『娘だよ!俺の娘!!』と言いました。
父はすぐに私を自宅に招き入れてくれました。
女性は無言で立ち去ってしまい、父に大丈夫なのか確認すると、『アイツとはそろそろ別れるつもりだから別にいいよ』と言われました。
部屋は1DKで、ソファを挟んで、開きっぱなしのドアの奥にベッドが置いてありました。
そのソファに通され、お茶を出してもらい、
父がいなくなってから現状に至るまでの話と
会いたかったという旨を伝え、
『これからまた親子として関わっていきたい』
『これから一緒に沢山思い出作っていこう』
と言いました。
すると、父はいきなり私の髪を鷲掴みにして
そのまま私をベッドのある部屋まで引きずり込みました。