Mは私が彼女を好きである事を知り、私はMが私と付き合えない事を知りました。
こうして、お互いがお互いの気持ちを知りました。
Mは私の気持ちを知った上で尚、「その気持ちは受け取る事が出来ない」と言いました。
ここはMの「受け取る事が出来ない」という気持ちを受け取る他ありません。
…と、そんなに甘い話ではありませんでした。
今日も席を立つタイミングが重なった時、Mが逃げるように普段は行かないはずのコンビニに駆けて向かったのを見て、私はMの意思を完全に理解しました。
「一緒になれない」どころではなく、「逃げたくなる程嫌だった(怖かった)」のです。
Mが私から受け取ったのは「怖い」であり、返事も要約すると「貴方は怖いので離れてください」だったに違いありません。
全く目を逸らさなかったのも、「恐怖で固まっていた」と考えるべきでしょう。
これがMの真意だと思います。
私に必要なのは直ちにMから離れる事です。
直ぐに退職、あるいは部署異動を申し出るわけにもいきませんが、なるべく彼女の視界に入らない様な処置をしなくてはなりません。
コロナウィルスの影響も大きく、生産が随分減っているので契約の更新が無くなる可能性を感じているのですが、仮にそうなるとしてもあと3ヶ月はあります。
そこで直ぐ実行出来るものとして、食堂で食事を摂るのを止める事にしました。
これでお互いに姿を晒す機会がほとんど無くなります。
今のところ物理的な行動はこれで精一杯ですが、契約の更新が出来たとしても、私自身が今のまま何も変わらずにいたら、「退職が最適解」という決断を下す事になるでしょう。