青、赤、緑のフィルターを掛けた人と、何のフィルターも掛けてない人(以下無)が一同に介したらどうなるでしょうか。
お遊びでイメージしてみます。
青「世界は青い。よって青が正しい。その証拠に空を見よ。見事な青じゃないか」
無「そうだね。空は青いね」
赤「バカを言うな。世界はどう見ても赤い。赤以外に正しい色はない。このリンゴを見てみろ。奇麗な赤だろう?」
無「うん。ほれぼれするような赤だね」
緑「寝言は寝て言いなさい。世界は緑。これこそが絶対的な真理です。あの木に繁る葉を御覧なさい。あれが緑でなくて何ですか」
無「その通り。緑以外の何者でもないね」
青赤緑「お前は誰の味方なんだ!?」
青色のフィルターを掛けていれば、赤い林檎も緑の葉も青にしか見えません。
青色のフィルターを通して見れば「林檎は赤い」も、「葉は緑」も間違いです。
赤色のフィルターを掛けていれば、青い空も緑の葉も赤にしか見えません。
赤色のフィルターを通して見れば「空は青い」も、「葉は緑」も間違いです。
緑色のフィルターを掛けていれば、青い空も赤い林檎も緑にしか見えません。
緑色のフィルターを通して見れば「空は青い」も、「林檎は赤い」も間違いです。
それぞれのフィルターを通して見ている限り、この三者は決して深い意味で調和しません。
争いを避ける為「空は青い事に、林檎は赤い事に、葉は緑である事にしよう」と取り決めして、一応は納得しようとするかも知れません。
しかし、それぞれは内心で「どう考えてもやっぱり変だ」という思いを抱えて悶々と過ごす事でしょう。
再びイメージに入ります。
青「やっぱりおかしい。林檎も葉もどう見ても青にしか見えない。赤や緑には世界は絶対に青で出来ている事をわからせねば…。無は適当なコウモリだから構わないでおこう」
赤「空も葉も、どう見ても赤にしか見えないんだが…。何故青は空を青いと言い、緑は葉を緑と言うのか、まずはその辺について考えてみる必要があるかもな。無はよくわからんなぁ。俺たちに合わせて争いを避けようとしているだけかも」
緑「妙です。青は空を青いと言い、赤は林檎は赤いと言いました。私にはどう見てもそれらも緑にしか見えないのですが、ただ一人無は青も赤も緑も同時に見えると言いました。一体どういう事でしょう?本当に緑以外の色もあるのでしょうか」
三者三様の思惑が沸き上がり、三者三様の探求が始まります。
青「赤!緑!いい加減に認めるんだ。世界はどう見たって青だろう?青だよね?青でしょう?お願い、青に見えると言って!」
赤「赤にしか見えない…。しかし、青や緑が嘘を言っているようには思えない。二人には赤以外の世界が見えているに違いない」
緑「そもそも、同じものを見てどうしてこう意見が分かれるのでしょうか?そして、無はどうしてその分かれた意見全てに同意出来たのでしょうか?無は三色全てが見えているとしか思えません」
思い余った三色トリオは、無の所へ教えを乞いに行きます。
青「空は青いよね?林檎も葉っぱも青いよね?ねぇったらねぇ」
赤「赤だけが真実だと思っていたが、そうではないんだろう?」
緑「あなたはどうして私たちが見える全ての色を否定しなかったのですか?あなたの目には一体何が見えるんですか?」
無「…ずっと昔から掛けているその色眼鏡外してごらんよ」
青赤緑「………」
青「ああ!何と言う事だ!林檎が赤い!葉っぱが緑だ!」
赤「どれ、ちょっと青の眼鏡貸してみろ…。うわっ!林檎が青く見える!これじゃ何でも青く見えて仕方ないな」
緑「何という事でしょう。ただ単に色眼鏡を掛けている事を忘れていただけとは…」
無「色眼鏡外したんだから、もう全員無でいいよね?」
無「そうだね」
無「そうだな」
無「そうですね」
無「もう誰が誰だかわかんなくなってしまったな」
無「これがデフォルトだからいいんだよ。また青として活動したくなったら青眼鏡掛ければいいし」
無「今度は掛けた事忘れないようにしないとな!」
無's「ワハハハハ!」
随分長くなってしまいましたが、読んで頂けた方、ありがとうございます。