札幌大通公園12丁目傍、教育文化会館の八重桜。

 

新緑の大通公園

 

今はライラックが見頃、来週から「ライラックまつり」が始まる。

 

 

毎年この時期になると、羽生選手がスーパースラムを達成した2020年の四大陸大会を思い出す。

萌黄色のSEIMEI様は春の使者の様だ。

 

 

「RE_PRAY宮城大楽」から早一月、利府で念願の単独ライブを観戦できた幸運に感謝している。

公演終了後も情報が多いが、先日放送された「RE_PRAYの舞台裏 sp」では、羽生選手が公演中殆ど休憩を取らず、過酷なトレーニングを行っていた場面があり驚愕した。

持久力に苦労した「佐賀公演」までの悔しさをバネに、それ迄の技術を徹底分析し、短期間で肉体改造までやってのけるとは、もはや鉄人から超人の域まで達した感がある。

 

持久力を鍛えた成果は「RE_PRAY横浜公演」から顕著となり、埼玉や佐賀では安定しなかったクジャ様のジャンプが決まるようになった。

最後の宮城公演初日は完璧、大楽はほぼ完ぺきな上に

3A+3T?のコンボまで披露し、

『破滅への使者』というタイトルに相応しい、ヒール役の

凄味が倍増した。

佐賀公演までの、どこか滅びの美学のような儚さは影を潜め、美しくも冷徹な「破壊神クジャ様」が君臨したのである。

6分間練習の最後、羽生選手自身の煽るようなナレーションが効果的だ。

  壊せ! 壊せ!

  俺のケツイが やっと出せる---(笑)

 

 

どこか楽しむように、冷たく笑いながら台詞を言う羽生選手の声にゾクゾクする。

長い間「みやびなひと刻」で鍛えたソフトボイスは伊達じゃない。

羽生選手には「氷の微笑」も似合いそうだ。

 

強い決意(ケツイ)をもってすべてを破壊しようとするクジャ様は、"Undertale"(アンダーテール)のGルートでサンズを含む全モンスターを殲滅し、ゲームの世界を破滅に導いた主人公の姿と重なる。

 

「ケツイ(Detamination)とは、運命をコントロールする力---、自分の決断や望みを現実に変える力です。

決意をもつことは生きる上で大事なことだけど、必ずしも善ではない。

あまりに固すぎる決意を持った人は、たった一人で世界の未来すら変えてしまうかもしれない。

そんな力が果たして良いものなのか悪いものなのか、これはだれにも分からないでしょう---?」

"Undertale"の制作者であるトビー・フォックス氏は、数年前の雑誌インタビューでこのように語っている。

 

戦うことは壊すこと、それは戦争という概念そのものであり、ゲームのようにリセットすることはできない。

トビー氏の発言から、「ケツイ」という言葉の重みについて深く考えさせられた。

 

羽生選手の"RE_PRAY"は平和への祈りそのもの、だから世界中のファンの心を揺さぶるのだろう。

真の芸術は生きる力を与えてくれる。

羽生選手には改めて、「"RE_PRAY TOUR"完走おめでとう」、そして「素晴らしいショーをありがとう」と心からお礼を述べたい。

リバイバル"RE_PRAYを超"期待している。