「お、起きたか。お前このままじゃ死ぬぞ。」
真っ赤な天使が僕に話しかけている。
「僕もうだめみたいです。天国までどうかよろしくお願いします。」
「ばかいえ、だれがそんな天使みたいなことするかよ。ほら、さっさと立ってくれ、お前に死なれると困るんだ。」
今まで天使だと思っていたものは天使ではなかったらしい。
となるとこいつはなんだ?悪魔か?すると僕が運ばれる先は地獄?
それはまずい。
「立てないんです。身体が動かないんです。」
「あ、すまん。俺が支配してたままだった。」
今までコンクリートで埋められているかのごとく重かった身体が一瞬にして軽くなった。
「ほら、これで動けるからとりあえず人を見つけろ。あとはなんとかするから。」
そう言われ僕は立ち上がった。
身体は軽くなったが、頭がぼーっとしてまともに歩けない。
「おい、自分の身体だろ?そのくらいきちんと操作しろよな。今ものすごい勢いでライフポイントが減ってるからうかうかしてるとあの世行きだぞ。」
悪魔がいろいろと話しているが立っているだけで精一杯の僕はそれに答える余裕もなかった。
「お願いだから人を見つけろって。あと5分もないぞ。」
悪魔がせかすように言う。
「もう無理です。」
僕はもう一度アスファルトに倒れこんだ。
「あーあ、もっと人間の操作の練習をしておくんだった。まさかこんなに難しいとは思わなかったもんな。」
悪魔ももうあきらめたようだった。
「人間の操作?」
「そう、人間の操作。ここまでお前を連れてきたのも俺なんだ。少しだけ練習するつもりだったんだが案外難しくてな、いつの間にかこんなところに。」
「それじゃあまた僕を操作して人のところに。」
「無理、俺の体力も残っていない。」
そこで会話は止まった。
もうなにも考える余裕がない。
ただただ眠い。
きっとここで寝れば死ぬのだろう。
ただ今までで一番心地よい眠りにつける気がする。
「お前悪魔がしぬとどうなるか知ってるか?」
悪魔もかなり弱っていることが声からわかった。
「いえ・・・。」
「こんなことになったお詫びといってはなんだが教えてやる。実は悪魔が死ぬとな。」
そのとき車の音が聞こえた。
そしてその音は近づいてくる。
「まだ死ぬには早いようだ。この話はお前が死ぬときまでお預けだ。」
車は僕の前に止まった。
そしてドアの開く音がして人が近づいてくる。
「キミ、大丈夫か?今すぐ救急車を呼ぶからしかっりしろ。」
僕はもう少しで死ぬはず。
今救急車を呼んでもらったところできっと手遅れなはずだ。
でも悪魔は死ぬまでお預けだと言った。
車の男性は懸命に僕に呼びかけをしている。
しかしその声も次第に遠くなっていった。
そして僕の目の前は真っ白になった。