毎年曾祖母らが、母方のスピリチュアルな女子会で語っていた、先祖代々からの言い伝えを思い出します。
「お盆は外出に気をつけること」
「お盆に海に入らないこと」
毎年この時期になると、曾祖母や祖母、母が逐一、子どもだった私たちに口を酸っぱく忠告してくれました。
人は、夏になると心が開放的になり、「外」へ向けて意識が向きがちになります。
言い方を変えると、イベントごとや人と会う機会が増え、それに伴い誘惑も多くなり、
浮かれたり、油断しやすい状態に、人はなりやすい季節なのです。
そこに夏休みやお盆の行事などで、さらに人の心は弾み、気がゆるみやすいことを、あの世はしっかりと熟知しています。
またお盆やお墓参りなど、あの世のことを考えたり、触れる機会も多いです。
お盆やお墓参りはとても大切なことですが、そこにつけ込もうとしているものも多いのも事実。
人出も多くなりますから、浮かれて、気がゆるんだ、人の心にちょっぴりつけ込むだけで、
考える力を奪ったり、後ろ暗いほうへ引っ張り込んだり、不都合な出来ごとを招くことができます。
お盆の少し前くらいから、運転が慣れていない人がハンドルを握る車をよく目にするようになります。
いつもは見かけないような人も、多く見るようになります。
そういう時期はなるべく、お買いものなどの用事は日の高いうちに済ませ、夜は出歩かないようにします。
あるときどうしても都合があり、夜に車で出かけたことがありました。
その帰りのことです。
車内に突然、それまでは感じたことのないくらいの強烈な「臭い」を感じました。
はじめは空調か、外から?と臭いの元を辿ろうとしましたが、そうではないみたい。
動物の糞尿のような、獣のような臭い。
「あれ?臭わない?」と口に出してようやく、ぞくりとする感覚を覚えました。
後ろの座席に何かが乗って来ていて、臭いの元が通りすがりの幽霊であることに気づきました。
うっかりな私のつぶやきによって、私が気づいたこともバレてしまいました。
すぐに対処をして追い出すと、外に弾いた瞬間に臭いもさっぱりと消えました。
見えないものを感じる感覚は、姿を見たり、ぞくりと感じたり、耳で聞くだけではなく、
五感を司る器官を通して、さまざまな捉え方で感じ取ることができます。
幽霊の低波動を嗅覚で捉えると、とても臭いです。
今回は獣臭でしたが、ゴミやドブのような匂いを感じることもあります。
話を戻しまして、母方のおばあちゃんたちは毎年、色々な切り口から言い聞かせることで、
子どもだった私たちが浮かれたり、油断していた心をしゃんとさせ、
浮かれてズレていた魂と、体との結びつきを強化してくれていたことを思い出します。
「お盆は、色々なものが出歩いているからね」
「運転も、いつも以上に気をつけること」
「物ごとを知っている人が、避けたり、譲ってあげること」
「夜はなるべく出歩かないように。やむ得ないときは誰かと連れ添うこと」
「焦らないこと」
もっと孫やひ孫と居たいのをこらえて、「暗くなる前に帰りなさい」と、
私たちの身の安全のほうを優先してくれていたのも、子ども心にまっすぐに伝わりました。
「もっと遊びたい」という子どもが、「きっと危険なことなのだろう」「気をつけよう」と我慢ができるくらいには、
曾祖母や祖母らの目や言葉がとても真剣で、重かったのを覚えています。
そして、「気づいても気づかないふりをして、無視すること」
「こちらが気づいたことを知られないように」と、身を守る方法も教わりました。
こうして毎年家族で声をかけ合いながら、家族が悲しいことに巻き込まれないように、
子孫が辛い思いをしなくて良いようにと、代々言い伝えてくれているのです。
お盆は、昼間でも普段以上に、色々な幽霊や人間が外を出歩いています。
運転がおかしい車や、おかしな人に見つからないように。
そういうことを知っている私たちのほうが避けたり、距離をとっておけば、目をつけられることはありません。
「お盆は外出に気をつけること」
「お盆に海に入らないこと。」
「お盆は」「お盆に」と言いますが、正確には、
お盆の数日前から気をつけたり、海に入らないようにしたり、海辺にも近づかないようにします。
敏感な人だと、何となく土地の「風」が変わったのを感じたり、
目の前は賑わっているはずなのに、心はもの寂しさを覚えるような、
そのような変化というか、エネルギーの兆しを感じられると思います。
ご先祖様から伝わるしきたりや習慣や言い伝えには、
私たち子孫が生きる上で困らないように、
経験して後悔する辛い過程を避けられるように、
先人の知恵で乗り越えられるようにという、ご先祖様方の愛情や思いやり、教訓が込められています。