みなさん、こんにちは。
 
 
これは、神父を生業(なりわい)にしていた曾祖父の話です。
 
 
田舎のそのもっと奥では、少し前まで、今では考えられないような古い習慣が残っていました。
 
 
一家の大黒柱となる人が亡くなると、女子どもは暮らしていけないという社会。
 
 
そのため私の遠い遠い親戚にも、
 
未亡人となった女性がいると、本人の意思とは関係なく、
 
奥さんを亡くした家庭に入らせるという習慣と時代が、近年までありました。
 
 
そうしないと女の人は食べていけない時代だったので、
 
仕方なく他の家庭に入りますが、
 
そのとき、自分の子どもを連れて行くことは許されませんでした。
 
 
自分の子どもは、自分の親族に託して、
 
新たな家庭にいる先妻の子どもを育てて、生きていかなければならなかったのです。
 
 
そういう時代のお話です。
 
 
あるとき曾祖父の村で、ある一家の大黒柱が亡くなりました。
 
 
その男性の妻は妊娠していて、もう少しで子どもが生まれると、楽しみにしていたところでした。
 
 
この女性は、この先の暮らしを考えて絶望したのでしょう。
 
 
そのあとすぐ、この女性はお腹の子どもともども、夫のあとを追いました。
 
 
異変があったのは、すぐでした。
 
 
その家族が住んでいた家は、早くに潰されましたが、庭に生えていた一本の木だけはそのままでした。
 
 
その木の周辺で、不吉なことが起こりはじめたのです。
 
 
夜中に誰もいないはずなのに、その木のあたりから赤子の声が聞こえるようになりました。
 
 
気味が悪いと、近所の人が曾祖父に相談しました。
 
 
曾祖父は、その木を切り倒して、海に流すことを提案しました。
 
 
それからみんなで木を切って、海に投げ込みましたが、
 
どうにもその木は、海の流れにはむかって、岸にしがみついて、沖に流れようとはしませんでした。
 
 
仕方がないので船で木を引っ張って、沖に連れていきましたが、
 
再び、もとの岸辺に戻ってきてしまいます。
 
 
そこで曾祖父らは、今度はその木をしっかりと乾かして、燃やして灰にしました。
 
 
それを船で運び、深夜の海に流しました。
 
 
すると暗闇の海上には、赤子の鳴き声が響き、しばらくすると消えたそうです。
 
 
今日も最後までありがとうございました。
 
 
 
 
 
 人気ブログランキング

新着1位頂きました🌸

ありがとうございます。

一日一回ご参加頂けます✨