相方の加瀬部は本当によく喋る。


昨日あったこと、今日すること、明日したいこと。 


そしてそれは時として、何のオチもなかったりする。


それをただただ聞く。


ついこの前のネタ合わせの際は、


加瀬部「大西ちゃん聞いてよー。昨日自転車のカゴが小さいなって感じたのね。だからバイクの大きいカゴを外して、自転車のカゴと付け替えたんだー!そしたらさ、自分で作ったものだから、前より自転車に愛着が湧いてくるんだよね〜」





なんだその話は



一体それを聞いてどうしろと言うんだ。


この違和感は何なんだろう。


コンビを組んでからずっと抱えていたこのモヤモヤ。







そして、ふと気付く。










彼女だ。









彼女が話し掛けてくる感じに非常に似ている。


しばらく彼女がいないことから、この感覚を忘れていた。


けど間違いなく相方のソレは、彼女のソレと一致する。


これが彼女だったら許せる。


何も感じない。


けど相方だから違和感が生じる。


ということはもはや、、、








彼女だと思って話を聞けば良いのではないか。


そしたら許せるのでは?


ここに一つの仮説が立てられた。


あとは立証あるのみ。







そして迎えたネタ合わせの日。


いつものように席に着くなり、口を開く加瀬部。


加瀬部「いやこの前さ、トルコ風ランプ作り教室に女友達2人と行ってきたんだけどさ〜」









?!





落ち着け、大西。


相手は彼女だ。


可愛い彼女だ。


そんな彼女のたわいもない世間話だ。


もっと神経を研ぎ澄ませろ。


視線を携帯の画面に落とし、視界から相方を消してみる。


大西「へえー楽しそうだね。」

彼女「ランプの柄をバラバラなモノにしたかったから、せめて色だけは単一でシンプルなほうが良いと思ったんだ!」

大西「うんうん」

彼女「けど完成したモノ見て思ったんだ。やっぱり柄同様、色もバラバラで良かったな〜って。」









許せる







可愛い彼女「てか家いるときすっごいアイス食べたくてさ!」

大西「うんうん」

可愛い彼女「けどどーせこのあとファミレス行くし、そこでアイス食べれば良いかなって思って我慢したんだ!」

大西「うんうん」

可愛い彼女「けど実際今メニュー開いたらそれほど食べたくなくて。。」

大西「そういうときあるよね!」

可愛い彼女「この状態で注文しても、きっと後悔するよねえ?」








許せるぞ




こんな処世術があったのか!


彼女だと思って、面さえ見なけりゃ屁でもないじゃないか!!!


遂にやったぞ!!!





可愛い彼女「ねえ大西ちゃん!聞いてる?」

大西「ん?」


思わず顔を上げる。

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ゴリゴリの加瀬部「ねえ、どう思う?」


振り出しだ。