1866年2月13日、アメリカのミズーリ州で、歴史にその名を刻む「世界初」の不名誉な記録が打ち立てられました。
伝説のアウトロー、ジェシー・ジェイムズとその一味が、白昼堂々と銀行を襲撃し、組織的な銀行強盗を世界で初めて成功させたのです。それまでの悪党といえば、旅人を道端で待ち伏せたり、馬車を襲ったりするのが定番でしたが、彼らは「金がある場所に直接乗り込む」という、当時としては極めて斬新で大胆不敵なビジネスモデルを確立してしまいました。
この事件が面白いのは、当時の銀行のセキュリティが驚くほど牧歌的だった点です。ジェシーたちは、南北戦争で培った騎兵隊さながらのチームワークで町に乗り込み、鮮やかな手口で大金を奪って逃走しました。追いかける保安官たちを尻目に、風のように去っていく彼らの姿は、不謹慎ながらも当時の民衆の目には「型破りなヒーロー」のように映ってしまったのです。
特にジェシーは、単なる犯罪者ではなく、強欲な銀行や鉄道会社を標的にする「西部のロビン・フッド」として神格化されていきました。
しかし、その実態は冷酷なプロの強盗集団であり、この日を境にアメリカ西部の治安は一気に激動の時代へと突入します。
バレンタインデーを翌日に控え、世の中が少し浮き足立っていたかもしれない2月13日。甘いムードを切り裂くような銃声と共に、銀行強盗という現代に続く犯罪の歴史が幕を開けたのでした。
