1989年3月23日、地球は宇宙規模の「間一髪」を経験しました。
この日、直径約300メートルという巨大な小惑星「アポフィス」が、地球からわずか70万キロメートルの距離をかすめるように通過したのです。
70万キロと聞くと遠く感じますが、宇宙の物差しでは「鼻先を弾丸が通り過ぎた」も同然の至近距離でした。さらに驚くべきは、人類がこの小惑星の存在に気づいたのが、なんと最接近から数日も経った後だったという事実です。
もしこの巨石が地球に衝突していれば、その威力は広島型原爆の数千倍から数万倍に匹敵し、広大な地域が瞬時に壊滅していたと言われています。私たちが何気なく過ごしていた日常の裏側で、地球は文字通り「九死に一生」を得ていたのです。
この薄氷を踏むようなエピソードから、3月23日は一部で「ニアミス・デー」と呼ばれ、宇宙への畏怖とともに、今こうして平和に暮らせている幸運を再確認する日となりました。
2026年の今日、観測技術は当時より飛躍的に向上し、宇宙の迷子たちをいち早く発見できるようになりました。しかし、この日の教訓は今も色褪せません。広大な暗闇の中で、奇跡的なバランスで守られている私たちの星。3月23日は、夜空を見上げて「今日も地球が平穏で良かった」と、宇宙的なスケールで安堵のため息をつきたくなる、そんな少しスリリングで不思議な記念日なのです。
