教学用語解説 八風
八風とは、『仏地経論』等に説かれたもので、仏道修行者の心を動揺させ、修行を妨げる八種の風をいい、八法とも呼ばれます。
その八種とは、利・衰・毀・誉・称・譏・苦・楽をいい、これによって心が定まることなく揺らぐために、風になぞらえて八風といいます。
『仏地経論』に、
「可意の事を得るを利と名け、可意の事を失ふを衰と名け、現ぜざる誹撥を毀と名け、現ぜざる讃美を誉と名け、現前の讃美を称と名け、現前の譏撥を譏と名け、身心を逼悩するを苦と名け、身心を適悦するを楽と名く」
と説かれています。
「利」うるおい とは経文に説かれているように、あらゆる物が自分の意のままになることです。金銭的・物質的、あるいはそれに準ずる利益が思いのままに手に入ってくることをいいます。
「衰」おとろえ とは自分の意のままにならないことで、先の「利」に対し、あらゆる福徳を損なうことをいいます。
「毀」やぶれ とは自分の知らないところで悪評を受けること、
「誉」ほまれ とは自分の知らないところで讃られることです。名聞名利・名誉欲に執着することもこれに当たります。
「称」たたえ は自分の目の前で他人から称賛されること、
「譏」そしり は目の前で毀そしられることをいいます。
「苦」くるしみ は身心が押さえ込まれて苦悩を味わうこと、
「楽」たのしみ は本道を忘れ一時的な享楽に耽ることをいいます。
この八風を大別すると「四順」と「四違」とに分けられます。四順とは利・誉・称・楽の四つで、その人にとって好ましく、喜ばしい気持ちになるものであり、誰もが好む誘惑といって良いでしょう。そして四違とは衰・毀・譏・苦の四つで、厭わしく、意気消沈してしまう気持ちになるものです。
一切衆生は 常に 四順を欲し、四違を忌諱するゆえに、八風に侵されながら生き続けているといっても過言ではありません。
日蓮大聖人は、『四条金吾殿御返事(八風抄)』に、
「賢人は八風と申して八つのかぜにをかされぬを賢人と申すなり」
(御書 1117頁)
と、世間の利害や毀誉褒貶に一喜一憂せず、八風が吹いても微動だにしないのが賢人であると御教示され、続いて、
「此の八風にをかされぬ人をば必ず天は守らせ給ふなり」(同)
と、八風に影響されない人には必ず諸天善神の加護があることを明らかにお示しです。
賢人とは 一往、人徳のある人といえますが、再往の正意は 三大秘法の大御本尊を 正直に受持信行する人のことです。
私たちは御本尊をしっかりと受持し、御法主上人猊下の御指南を身口意の三業の上から正直に拝していくことが肝要です。その実践にこそ、根のしっかりとした、八風に紛動されない強盛な信心が築かれるのです。
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